NMR エチルエステルの加水分解 105回薬剤師国家試験問107
105回薬剤師国家試験 問107
図は、ある化合物Aの1H-NMR スペクトル(400MHz、CDCl3、基準物質はテトラメチルシラン)を示したものである。
また、表は各シグナルの積分比を一覧にしたものである。
化合物Aの加水分解反応によって得られた化合物Bについて、同様の条件下で1H-NMR スペクトルの測定を行ったところ、アとウに相当するシグナルが消失し、11ppm付近に線幅の広い新たなシグナルが観測された。
化合物Aの構造式はどれか。1つ選びなさい。
なお、×印のシグナルは水又はCDCl3 中に含まれるCHCl3のプロトンに由来するシグナルである。
105回薬剤師国家試験 問107 解答解説
正解は3である。
以下、詳細
ア(1.5ppm付近に積分比3の3重線)と
ウ(4ppm付近に積分比2の4重線)のシグナルより、
−OCH2CH3の構造があると考えられる。
−O−CH−のHは4〜5ppm前後と覚えておこう。
加水分解を受けるとアとウのシグナルが消失するので、
−C(=O)−OCH2CH3のエステル構造だと考えられる。
よって、選択肢の2,3,5に絞られる。
イ(4ppm付近に積分比3の一重線)のシグナルより、
−OCH3(メトキシ基)を持つと考えられる。
これで2と3に絞られる。
表より積分比3のシグナルは2つなので、CH3の構造は2つである。
2の化合物はCH3の構造が3つなので外れる。
また、7〜8ppm前後にエ,オ,カ,キの4つの積分比1のシグナルがあるが、
これより芳香環の炭素に4つのHが存在すると考えられる。
以上より、3が正解だと考えられる。
化合物中の各水素とシグナルの対応は下記の通り。
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第105回問107(e-RECさん)