NMRの化学シフトとは?概要と求め方,計算式

本ページでは、NMRにおける化学シフトとは何か、
概要と共鳴周波数との関係,求め方,計算式について説明しています。

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★ 化学シフト

 

外部磁場による原子核のスピンは、電子の円運動により発生する誘起磁場の影響を受ける。
誘起磁場は外部磁場と逆向きの磁場であり、
外部磁場を弱める遮へい効果を与える。遮へい効果の程度は遮へい定数(σ)で表される。
原子核が核磁気共鳴(NMR)を起こすラジオ波の周波数を共鳴周波数(ν)と呼ぶ。
共鳴周波数(ν)について下記の式が成り立つ。

 

NMRの化学シフトとは 概要と求め方,計算式

 

原子核の周辺電子の状態によって遮へい定数σの値は異なり、
それに伴い共鳴周波数νに差が生じる。
ある原子核の共鳴周波数と、
基準物質の原子核の共鳴周波数との差を化学シフトと呼ぶ。
化学シフトは、記号δ(デルタ)で示される。

 

化学シフトは下記の式で定義され、
無次元のppm単位で表される。

 

NMRの化学シフトとは 概要と求め方,計算式

 

式中のνrは基準物質の原子核の共鳴周波数で、
νsは試料の各原子核の共鳴周波数である。

 

よって、NMR法では、
電子密度が高いこと等で遮へい効果が大きく遮へい定数σが大きいほど、
共鳴数波数νは低く、化学シフト値δは低い。
逆に、電子密度が低いこと等で遮へい効果が小さく遮へい定数σが小さいほど、
共鳴数波数νは高く、化学シフト値δは高い。

 

また、ppm単位で表される化学シフトは外部磁場の強さとは無関係である。

 

NMRスペクトルにおいては、
一般に、横軸を化学シフト(δ)とし、
基準物質の原子核の化学シフトを0ppmとし、
他の原子核の化学シフトを基準物質との相対で示す。

 

スペクトルの横軸において、
右側の化学シフトが低い側(低共鳴周波数側)を高磁場側と呼び、
左側の化学シフトが高い側(高共鳴周波数側)を低磁場側と呼ぶ。

 

NMRの化学シフトとは 概要と求め方,計算式

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