86回薬剤師国家試験問27 アミノ酸の1H-NMR
86回薬剤師国家試験 問27
下の図a〜eは、ア〜オに示したいずれかのアミノ酸を重水溶液中で測定した1H-NMRスペクトル (500 MHz) である。スペクトルとアミノ酸を正しく組合せなさい。
ただし、δ4.8 ppm付近のシグナルは、H2O由来のシグナルであり、NH2基、COOH基の各プロトンはD2O交換により消失している。
86回薬剤師国家試験 問27 解答解説
◆ aについて
積分曲線の大きさから各シグナルの積分値は3H,1H,1Hだと考えられる。
よって、aはイ(トレオニン)が該当する。
◆ bについて
積分曲線の大きさから各シグナルの積分値は3H,1Hだと考えられる。
よって、bはウ(アラニン)が該当する。
◆ cについて
7〜8ppmにベンゼン環プロトンのシグナルが見られるので、
cはア(フェニルアラニン)が該当する。
◆ dについて
積分曲線の比より、2つのシグナルの積分比は1:2だと考えられる。
また、2つのシグナルはいずれも4ppm前後であることから、
これらは−O−CHや−N−CHのHのように
電気陰性度の比較的大きい酸素や窒素などが直接結合する炭素に結合する水素のシグナルと考えられる。
以上より、dはオ(セリン)が該当する。
◆ eについて
積分曲線の比より、3つのシグナルの積分比は6:3:1だと考えられる。
よって、eはエ(ロイシン)が該当する。
Bの1HとCの2Hは互いに非等価だが、
スペクトルではこれらのシグナルが重なって1つの3H分のシグナルとして現れている。
このように、複数の互いに非等価なプロトンのシグナルが重なって1つになることもある。