82回薬剤師国家試験問40 核磁気共鳴法 プロトンがn個存在するとシグナルは(n+1)本

82回薬剤師国家試験 問40
核磁気共鳴法(1H-NMR)に関する次の記述の正誤を判定してみよう。

 

a 一般にシグナルの面積強度はプロトンの数に比例する。

 

b 隣に等価なプロトンがn個存在すると、一般にシグナルは(n+1)本に分裂する。

 

c 測定溶液中に重水を添加することによって、OHやNHなどの活性水素のシグナルを消失または移動させることができる。

 

d プロトンの磁気緩和時間からの情報は、臨床で使われるMRI(磁気共鴫イメージング)に利用されている。

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82回薬剤師国家試験 問40 解答解説

 

◆ aについて
a ○ 一般にシグナルの面積強度はプロトンの数に比例する。

 

詳細は下記のリンク先を参照
シグナルの面積強度はプロトンの数に比例 82回問40a

 

 

◆ bについて
b ○ 隣に等価なプロトンがn個存在すると、一般にシグナルは(n+1)本に分裂する。

 

NMRスペクトルでは、
スピン−スピン結合(カップリング)によってシグナルが分裂する。
詳細は下記のリンク先を参照
スピン−スピン結合(カップリング)とは

 

 

◆ cについて
c ○ 測定溶液中に重水を添加することによって、OHやNHなどの活性水素のシグナルを消失または移動させることができる。

 

OH,NH,SHなどN,O,Sといったヘテロ原子に結合するHは重水(D2O)添加により重水素(D)と置換する。
1H-NMRでは、ヘテロ原子に結合するHのシグナルは重水添加で消失する。
このことから、重水添加によりシグナルが消失すればOHやNHの存在が考えられる。

 

 

◆ dについて
d ○ プロトンの磁気緩和時間からの情報は、臨床で使われるMRI(磁気共鴫イメージング)に利用されている。

 

1Hは原子核のスピンに関して、
外部磁場をかけてラジオ波のパルス(RFパルス)を当てるとラジオ波のエネルギーを吸収して励起する現象がみられる。
これを核磁気共鳴(NMR)と呼ぶ。
ラジオ波のパルスの照射を止めると、エネルギーを放出して元の状態に戻る。
これを緩和現象と呼び、元の状態に戻るのに要する時間を緩和時間と呼ぶ。
また、緩和現象には縦磁化の緩和(縦緩和)と横磁化の緩和(横緩和)があり、
それぞれに要する時間を縦緩和時間(T1),および,横緩和時間(T2)と呼ぶ。
生体中の1Hはそれぞれが置かれている環境の違いにより、
縦緩和時間(T1)と横緩和時間(T2)が異なり、
その違いをコンピューターで処理して画像化し、分析対象物の情報を得ることが出来る。
これを磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging:MRI)という。

 

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