H-NMR 芳香族化合物の環電流効果と化学シフト 89回薬剤師国家試験問5b

89回薬剤師国家試験 問5b
芳香族化合物に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

b 1H NMRスペクトルには、環電流効果が現れる。

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薬剤師国家試験過去問題集 化学 芳香族化合物

 

 

89回薬剤師国家試験 問5b 解答解説

 

b ○ 芳香族化合物の1H NMRスペクトルには、環電流効果が現れる。

 

NMRにおいて、不飽和結合では外部磁場の影響でπ電子の環電流が生じ、
磁気異方性効果が与えられる。
磁気異方性効果により、
遮蔽が強められる場合(高磁場シフト)と
遮蔽が弱められる場合(反遮蔽,低磁場シフト)がある。
芳香環炭素に結合する1Hは磁気異方性効果で遮へいが弱められる場合に該当し(反遮蔽)、
芳香環プロトンの磁気的遮蔽は小さくなる。
NMR法でシグナルは低磁場領域(高周波数領域)に現れる。
このため、1H-NMRにおいて芳香環炭素に結合した水素のシグナルは7〜8ppmの低磁場領域(高周波数領域)に観測される。

 

なお、環電流効果が働かない脂肪族の飽和炭化水素の水素のシグナルは1〜2ppm付近の高磁場領域(低周波数領域)に観測される。

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