薬剤師国家試験過去問題集 一般試験法・製剤試験法

日本薬局方一般試験法 90回薬剤師国家試験問179

90回薬剤師国家試験 問179
日本薬局方一般試験法に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a 容器に10 mLを超えて充てんされた注射剤で、エンドトキシン試験法の適用が困難な場合は、発熱性物質試験法を用いることができる。
b 発熱性物質試験法はエンドトキシン以外の発熱性物質をも検出しうるため、注射用水には発熱性物質試験法が適用される。
c 熱質量測定法(TG)では、試料の温度上昇にともなって起こる融解や多形転移などの相変化を検出することができる。
d 溶出試験の適用を受ける製剤には、崩壊試験法を適用しない。

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90回薬剤師国家試験 問179 解答解説

 

◆ a,bについて
a 〇 容器に10 mLを超えて充てんされた注射剤で、エンドトキシン試験法の適用が困難な場合は、発熱性物質試験法を用いることができる。

 

b × 発熱性物質試験法はエンドトキシン以外の発熱性物質をも検出しうるため、注射用水には発熱性物質試験法が適用される。
注射用水にはエンドトキシン試験法が適用され、エンドトキシン試験法の適用が困難な場合は,発熱性物質試験法を適用できる。

 

注射剤,注射剤を製するに用いる溶剤,添付された溶解液などは,皮内,皮下及び筋肉内投与のみに用いるものを除き,別に規定するもののほか,エンドトキシン試験法に適合する.
ただし,エンドトキシン試験法の適用が困難な場合は,発熱性物質試験法を適用できる.

 

 

◆ cについて
c × 熱質量測定法(TG)では、試料の温度上昇にともなって起こる融解や多形転移などの相変化を検出することができる。

 

熱分析法に関する問題である。
熱質量測定法 (TG:Thermogravimetry )は、
温度の関数として試料物質の質量を測定する方法である。
よって、熱質量測定法では、融解や多形転移などの質量変化を伴わない現象を検出することはできない。

 

なお、cの記述の「試料の温度上昇にともなって起こる融解や多形転移などの相変化を検出することができる」のは示差走査熱量測定法(DSC:Differential Scanning Calorimetry)である。
示差走査熱量測定法は,物質又は物質の混合物の,昇温又は降温中に発生するエネルギー現象の測定,更に,エンタルピーや比熱の変化及びそれらが起こる温度の測定を行うのに用いられる方法である。

 

関連問題
熱質量測定法は融解ピークから融点を求めることができる? 95回問179c

 

 

◆ dについて
d × 溶出試験の適用を受ける製剤には、崩壊試験法を適用しない。
このような規定はない。

 

溶出試験は,経口製剤について有効成分の溶出を調べ、溶出試験規格に適合しているかどうかを判定するために行うものであるが,併せて著しい生物学的非同等を防ぐことを目的としている。
溶出試験法が適用される製剤は、錠剤,カプセル剤,顆粒剤,散剤,経口液剤の懸濁剤,シロップ剤の懸濁した製剤,経口ゼリー剤,経口フィルム剤である。

 

崩壊試験法は,錠剤,カプセル剤,顆粒剤,シロップ用剤,丸剤が試験液中,定められた条件で規定時間内に崩壊するかどうかを確認する試験法である。

 

よって、溶出試験の適用を受ける製剤の中には、崩壊試験法も適用する製剤はある。

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