フェノバルビタール中毒 98回薬剤師国家試験問270-271

98回薬剤師国家試験 問270−271
10歳男児。体重30kg。てんかんのためフェノバルビタールを服用していた。
最近、傾眠傾向にあり、母親が心配になり、男児と医療機関を受診した。
薬剤師がフェノバルビタールの血清中濃度を測定したところ40μg/mL であり、
治療有効濃度を超えていた。男児の肝機能及び腎機能は正常であった。

 

問270(実務)
この患者への処置として、最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 アトロピン硫酸塩水和物の静注
2 フルマゼニルの静注
3 炭酸水素ナトリウムの点滴静注
4 塩化アンモニウムの点滴静注
5 ホリナートカルシウムの静注

 

問271(薬剤)
前問で選択した薬物がフェノバルビタールの体内動態に及ぼす影響として、
正しいのはどれか。1つ選びなさい。
1 消化管吸収の阻害
2 尿細管再吸収の抑制
3 尿細管分泌の促進
4 受容体での拮抗
5 胆汁中排泄の促進

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98回薬剤師国家試験 問270−271 解答解説

 

問270について
本患者はフェノバルビタール中毒であり、
処置として最も適切なのは、
選択肢3の炭酸水素ナトリウムの点滴静注である。

 

問271について
炭酸水素ナトリウムがフェノバルビタールの体内動態に及ぼす影響として、
正しいのは、選択肢2の尿細管再吸収の抑制である。

 

体内のフェノバルビタールは、主に肝臓で代謝されることにより消失するが、
一部は未変化体として尿中排泄されることで消失する。
フェノバルビタールは、尿のpHが高くなると、尿中の分子形分率が低下し、
尿細管再吸収が抑制され、尿中排泄率が高くなる。
よって、フェノバルビタールの中毒に対し、
炭酸水素ナトリウムを投与することにより、尿のpHが上昇し、
フェノバルビタールの尿細管再吸収を抑制し、尿中排泄を促すことができる。

 

98回薬剤師国家試験問270-271 フェノバルビタール中毒

 

 

 

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