NMRのスピン−スピン結合(カップリング)とは? 薬学
本ページでは、NMRにおけるスピン−スピン結合(カップリング)の概要を説明しています。
★ スピン−スピン結合(カップリング)
スピン−スピン結合(スピン−スピンカップリング)とは、
原子核が化学結合を介して他の原子核と磁気的相互作用を及ぼし合うことである。
NMRスペクトルでは、
スピン−スピン結合によってシグナルが分裂することが見られ、
シグナルの分裂様式から原子核周辺の構造が推測できる。
★ 隣接炭素に等価なプロトンがn個存在すると、カップリングでシグナルは(n+1)本に分裂
ある1Hのシグナルは、
その1Hが結合する炭素に隣接する炭素に合計n個の等価な水素がある場合、
カップリングによりn+1個に分裂する。
下記の化合物の1H-NMRスペクトルを例に説明する。
(1)aのシグナル
aが結合する炭素に隣接する炭素には1個の等価な水素(b)があるので、
aのシグナルは二重線(ダブレット)に分裂する。
(2)bのシグナル
bが結合する炭素に隣接する炭素には6個の等価な水素(a)があるので、
bのシグナルはカップリングで七重線となる。
なお、七重線のように多数に分裂するシグナルを多重線(マルチプレット:multiplet)とも呼ぶ。
(3)cのシグナル
cが結合する炭素に隣接する炭素に結合する等価な水素は0個なので、
cのシグナルは一重線(シングレット)となる。
★ スピン−スピン結合定数
カップリングによるシグナルの分裂幅をスピン−スピン結合定数と呼ぶ。
詳細は下記のリンク先を参照
スピン−スピン結合定数とは