血液脳関門透過速度と分配係数の関係 92回薬剤師国家試験問153
92回薬剤師国家試験 問153
図は分子量400以下の薬物の血液脳関門透過速度とn−オクタノール/水分配係数の関係を示したものである。
図中の薬物に関する記述について、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
ただし、B群の薬物は血液脳関門透過速度と分配係数との問に、図に示す直線関係がみられた。
a A群の薬物は、毛細血管内皮細胞から血中へ能動的に排出される可能性が高い。
b B群の薬物は、受動拡散によって血液脳関門を透過する可能性が高い。
c C群の薬物は、輸送系に認識されて血液脳関門を透過する可能性が高い。
d A群に属する薬物には、レボドパがある。
92回薬剤師国家試験 問153 解答解説
◆ a,dについて
a × A群の薬物は、毛細血管内皮細胞から血中へ能動的に排出される可能性が高い。
→ 〇 A群の薬物は、輸送系に認識されて血液脳関門を透過する可能性が高い。
d ○ A群に属する薬物には、レボドパがある。
A群は、n−オクタノール/水分配係数は小さいが、
血液脳関門透過速度が大きい。
これは、A群は、血液脳関門の実体である毛細血管内皮細胞のトランスポーターにより、
血液から脳内に輸送されているためと考えられる。
A群に属するものとして、アミノ酸,グルコースなどの栄養物質や、
レボドパ,バクロフェンなど一部の薬剤が挙げられる。
◆ bについて
b ○ B群の薬物は、受動拡散によって血液脳関門を透過する可能性が高い。
B群は、血液脳関門透過速度と分配係数との間に直線関係がみられる。
このことから、B群は、pH分配仮説に従い、
単純拡散により血液脳関門を透過していると考えられる。
◆ cについて
c × C群の薬物は、輸送系に認識されて血液脳関門を透過する可能性が高い。
→ 〇 C群の薬物は、毛細血管内皮細胞から血中へ能動的に排出される可能性が高い。
C群は、分配係数によらず、血液脳関門透過速度が低い。
これは、C群は、毛細血管内皮細胞のトランスポーターにより、
細胞内から血中へと能動的に排出されるためと考えられる。