αβ不飽和カルボニル マイケル付加 ロビンソン環化 101回薬剤師国家試験問104

第101回薬剤師国家試験 問104
化合物AとBの反応では、中間体Cを経由して化合物Dを与える。中間体Cの構造式として正しいのはどれか。1つ選びなさい。

 

αβ不飽和カルボニル マイケル(Michael)付加 ロビンソン環化 101回問104

 

αβ不飽和カルボニル マイケル(Michael)付加 ロビンソン環化 101回問104

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薬剤師国家試験過去問題集 化学 アルケン

 

第101回薬剤師国家試験 問104 解答解説

 

 

 

 

αβ不飽和カルボニル マイケル(Michael)付加 ロビンソン環化 101回問104

 

設問の出発物のうち、Bはカルボニル(C=O)のα位とβ位の炭素がC=Cである。
この構造をα,β−不飽和カルボニルという。α,β−不飽和カルボニルでは、カルボニルの電子求引性電子効果によりC=Cのβ位が電子不足となっている。

 

★ C=Cに電子求引基が置換しているアルケンでは、β位炭素が電子不足となり求核剤が付加する求核共役付加反応が起こる(マイケル付加反応)

 

マイケル付加反応については下記のリンク先を参照
αβ不飽和カルボニルのマイケル付加反応 102回問207

 

Aはα水素のあるケトンであり、強塩基であるエトキシドイオン(CH3CH2O−)がAのα水素をプロトンとして引き抜くとAのエノラートイオンを生成し、これがBの電子不足のβ位炭素に対して求核共役付加反応を起こす。
Aには引き抜かれる候補として下記のHxとHyの2種類のα水素がある。

 

αβ不飽和カルボニル マイケル(Michael)付加 ロビンソン環化 101回問104

 

α水素が引き抜かれて生じるエノラートイオンの安定性を考えると、共鳴構造のうちのアルケンの構造を比較した時、C=Cのアルキル置換基のより多い方が安定性は高いので、この場合は、Hxが引き抜かれてエノラートイオンを生成する反応の方が起こりやすいと考えられる。

 

αβ不飽和カルボニル マイケル(Michael)付加 ロビンソン環化 101回問104

 

アルケンの安定性については下記のリンク先を参照
アルケンの安定性

 

次に、Aのエノラートイオンの負電荷を帯びた炭素(C−)がBのα,β−不飽和カルボニルの電子不足のβ位炭素に対し求核攻撃を行い付加する(マイケル付加反応)。
よって、設問のCの構造は5だと考えられる。

 

αβ不飽和カルボニル マイケル(Michael)付加 ロビンソン環化 101回問104

 

その後、下の図のように、強塩基のエトキシドイオン(CH3CH2O−)が化合物Cのα水素をプロトンとして引き抜き、生じたエノラートイオンの負電荷を帯びた炭素(C−)がカルボニル炭素に求核付加し、縮合する。このように2つのアルデヒドまたはケトンによる縮合反応をアルドール反応と呼ぶ。本問のCからDへの変換は、分子内アルドール反応である。

 

αβ不飽和カルボニル マイケル(Michael)付加 ロビンソン環化 101回問104

 

★他サイトさんの解説へのリンク
101回問104(e-RECさん)

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