アルケンのBH3(ボラン)によるヒドロホウ素化 第84回薬剤師国家試験問7のc
第84回薬剤師国家試験 問7c
下記のオレフィン(アルケン)への付加反応cの主生成物の構造式の正誤を判定してみよう。
84回薬剤師国家試験 問7c 解答解説
cの反応の主生成物の構造は誤りである。
cの反応はアルケンのヒドロホウ素化であり、アルケンのC=Cに対してボラン(BH3)がBH2とHに分かれてsyn付加する。この際、BH2が立体障害を避けて置換基の少ない方の炭素に結合するので、主生成物は逆マルコフニコフ型である。すなわち、C=Cのうち、アルキル置換基の数が少ない方の炭素にBH2が付加し、アルキル置換基の数が多い方の炭素にHが付加する。
なお、アルケンのヒドロホウ素化の後、過酸化水素の塩基性水溶液で処理すると、酸化が起こり、BH2がOHに置換されたアルコールが生成する。よって、アルケンのヒドロホウ素化−酸化では、OHとHがsyn付加し、C=Cのうち、アルキル置換基の数が少ない方の炭素にOHが付加し、アルキル置換基の数が多い方の炭素にHが付加した逆マルコフニコフ型生成物が主生成物となる。
アルケンのヒドロホウ素−酸化については、
下記のリンク先を参照
アルケンのヒドロホウ素化−酸化 100回問102