アルケンのヒドロホウ素化−酸化 逆マルコフニコフ則とシン付加 100回薬剤師国家試験問102

100回薬剤師国家試験 問102

 

化合物Aのヒドロホウ素化−酸化反応の主生成物Bとして正しいのはどれか。
1つ選びなさい。ただし、ラセミ体が生成する場合は片方の鏡像異性体のみを示してある。

 

100回薬剤師国家試験問102 化合物Aのヒドロホウ素化−酸化反応の主生成物B

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薬剤師国家試験過去問題集 化学 アルケン

 

 

100回薬剤師国家試験 問102 解答解説

 

100回薬剤師国家試験問102 化合物Aのヒドロホウ素化−酸化反応の主生成物B

 

正解は1である。

 

100回薬剤師国家試験問102 化合物Aのヒドロホウ素化−酸化反応の主生成物B

 

本問の反応は、アルケンのヒドロホウ素化−酸化と呼ばれる水和反応の1種であり、
アルケンにOHとHがsyn付加したアルコールが生成する。
この反応は、逆マルコフニコフ型付加であり、アルケンの2つの炭素のうち、置換基の多い方の炭素にHが付加し、置換基の少ない方の炭素にOHが付加する。
本問の反応は下記の通り進行する。

 

100回薬剤師国家試験問102 化合物Aのヒドロホウ素化−酸化反応の主生成物B

 

 

★ アルケンのヒドロホウ素化−アルカリ性過酸化水素処理での水和反応でHとOHがsyn付加である理由

 

BH3(ボラン)のBは空軌道を有するので電子を受け取る求電子試薬またはルイス酸となる。
反応の最初の段階として出発物のアルケンのC=Cに対してBH3(ボラン)が求電子試薬として、BH2とHに分かれるような形でsyn(シン)付加する。syn付加とは立体的に同じ側に付加するということある。
ここでは、BH2とHがゆるくつながったままアルケンのsp2平面に対して同じ側に付加するので、syn付加となる。BH2は後の過程でOHに置換されるので、最終生成物はOHとHがsyn付加したものになる。

 

 

★ アルケンのヒドロホウ素化−アルカリ性過酸化水素処理での水和反応の主生成物が逆マルコフニコフ型である理由

 

一般に、アルケンのヒドロホウ素化−酸化での水和反応の主生成物は逆マルコフニコフ型となる。
アルケンの付加反応におけるマルコウニコフ型生成物とは、アルケンの2つの炭素について、アルキル置換基の少ない方に水素が付加し、アルキル置換基の多い方に水素以外のものが付加した生成物を指す。
 アルケンのヒドロホウ素化−酸化で主に生成するアルコールは逆マルコウニコフ型のものである。すなわち、アルケンの2つの炭素について、アルキル置換基の多い方に水素が付加し、アルキル置換基の少ない方にOHが付加したものが主生成物となる。
その理由は、アルケンに対してBH3がBH2とHに分かれて付加する際、立体障害を避けるため、相対的にサイズの大きいBH2が置換基で混みあっていない方の炭素に付加し、サイズの小さいHが置換基で混みあっている方の炭素に付加するためである。このことが結果として、主生成物が逆マルコフニコフ型となることにつながる。

 

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第100回問102(e-RECさん)

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