アルケン オゾンO3分解 開裂でアルデヒド・ケトン 102回薬剤師国家試験問102
102回薬剤師国家試験 問102
次の反応で得られる主生成物Aの構造式として、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
102回薬剤師国家試験 問102 解答解説
正解は5である。
アルケンにオゾン(O3)を反応させるとオゾニドが生成する。
さらに、オゾニドを亜鉛−酢酸やスルフィド(R2S)やホスフィン(R3P)で還元処理すると、アルケンが開裂したアルデヒドまたはケトンが生成する。
★ アルケンのオゾンによる開裂
アルケンの二重結合を開裂させる方法としてオゾン分解がある。
まず、アルケンとオゾンを反応させるとオゾニドという中間体が生成する。その後のオゾニドの処理の仕方により、アルケンが開裂した後に得られる生成物が異なる。
アルケンのオゾン分解として下記の@〜Bの手法が挙げられる。
@ アルケンとオゾンを反応させ、得られたオゾニドを(CH3)2Sのようなスルフィドや亜鉛−酢酸やホスフィン(R3P)で還元的に処理すると、アルケンが開裂したアルデヒドまたはケトンが生成する。
アルデヒドは酸化されてカルボン酸になりやすいため、生成物としてアルデヒドを得ることは難しいが、この処理の仕方では最後が還元環境下であるため、生成物としてアルデヒドを得ることができる。
A アルケンとオゾンを反応させ、得られたオゾニドをNaBH4やLiAlH4といった比較的強い還元剤で処理すると、アルケンが開裂したアルコールが得られる。オゾニド分解で生成したアルデヒドとケトンがヒドリド還元されてアルコールになると考えられる。
B アルケンとオゾンを反応させ、得られたオゾニドを過酸化水素(H2O2)などで酸化的に処理すると、アルケンが開裂したカルボン酸またはケトンが得られる。酸化的環境下では、アルデヒドはすぐに酸化されてカルボン酸となるため、アルデヒドを得ることはできない。
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第102回問102(e-RECさん)