アルケンに対するハロゲン化水素付加の立体化学 107回薬剤師国家試験問103の4
107回薬剤師国家試験 問103の4
下記の反応は主生成物としてメソ体を与えるか判定してみよう。
107回薬剤師国家試験 問103の4 解答解説
反応4の主生成物はメソ体ではない。
反応4はアルケンに対するハロゲン化水素の求電子付加反応であり、
アルケンのC=Cにハロゲンと水素が付加する。
カルボカチオン中間体を経ることから主生成物はマルコフニコフ型となる。
求電子付加反応のマルコフニコフ則については、
下記のリンク先を参照
マルコフニコフ則とは? 82回問4d
反応4は下記のように進行する。
★ アルケンのハロゲン化水素の付加反応の主生成物がマルコフニコフ型である理由
アルケンのハロゲン化水素の付加反応の主生成物はマルコウニコフ型である。すなわち、アルケンの2つの炭素について、アルキル置換基の少ない方に水素が付加し、アルキル置換基の多い方にハロゲンが付加したものが主生成物となる。
アルケンのハロゲン化水素の付加反応では、始めに、アルケンのπ電子がハロゲン化水素の水素に供与され、水素が付加してカルボカチオン中間体を生成する。この時、より安定なカルボカチオンを生成するように反応が進み、このことが主生成物がマルコフニコフ型である結果につながる。
カルボカチオンの安定性について、C+に置換するアルキル基の数が多いほど、アルキル基から電子が供与されて+の電荷が弱まり安定性が高くなると考える。
アルケンに水素が付加してカルボカチオン中間体を生成する反応では、アルケンの2つの炭素のうち、電子供与基であるアルキル基が多く置換している方の炭素がC+となったカルボカチオンを生成するよう、置換しているアルキル基の数が少ない方の炭素に水素が付加する。その後、C+に対しては水素以外の別のものが付加する。このようにして、主生成物がマルコフニコフ型となる。
カルボカチオンの安定性については下記のリンク先を参照
カルボカチオンの安定性