アルケン ジオール化（ジヒドロキシル化） 総合問題 96回薬剤師国家試験問10d改題
96回薬剤師国家試験 問10d 改題
化合物Xが主生成物で得られる合成法はどれか、A法，B法，C法の中からすべて選びなさい。
96回薬剤師国家試験 問10d改題 解答解説
アルケンに対して2つのOHを付加する、
アルケンのジヒドロキシ化に関する問題である。
アルケンのジヒドロキシ化では、
2つのOHがsyn付加（cis付加）する反応と
anti付加（trans付加）する反応がある。
本問で得たい化合物Xは、
2つのOHが互いに異なる側に付加したanti付加体（trans付加体）である。
◆ A法について
A法では、上記の通り、主生成物として、
2つのOHが互いに同じ側に付加したsyn付加体(cis付加体)のジオールが生成する。
よって、A法では主生成物としてXは得られない。
A法では、始めに、アルケンに四酸化オスミウム（OSO4）を反応させる。これにより、OsO4がsyn付加し、中間体として環状オスミウム酸エステルが生成する。
続いて、H2S（硫化水素）で還元処理することにより、アルケンに2つのOHがsyn付加（cis付加）したジオールが得られる。
A法は以下の通り進行する。
◆ B法について
B法では、上記の通り、主生成物として、
2つのOHが互いに異なる側に付加したanti付加体(trans付加体)のジオールが生成する。
よって、B法では、主生成物として化合物Xが得られる。
以下、詳細
アルケンとメタクロロ過安息香酸等の過酸（R-COOOH）が反応すると、
エポキシド（オキシラン）が生成する。
さらに、エポキシドを酸性条件下で加水分解すると、
2つのOHがanti付加(trans付加)したジオールが生成する。
◆ C法について
C法では、上記の通り、主生成物として、
2つのOHが互いに同じ側に付加したsyn付加体(cis付加体)のジオールが生成する。
アルケンを塩基性条件下、過マンガン酸カリウム（KMO4）で酸化すると、主生成物として、アルケンに2つのOHがsyn付加（cis付加）したジオールが得られる。
よって、C法では主生成物としてXは得られない。
