アルケン 水中でのハロゲン付加でハロヒドリン生成の反応機構
本ページでは、水中でアルケンに対してハロゲン分子を反応させてハロヒドリンを生成する反応について説明しています。
水中でアルケンに対してハロゲン分子を反応させると、
ハロゲンとOHが互いにanti付加(trans付加)したハロヒドリンが生成する。
さらに、非対称のアルケンでは、C=Cの2つの炭素のうち、ハロゲンはアルキル置換基の少ない方に付加し、OHは置換基の多い方に付加したものが主生成物となる。
★ 水中でのアルケンとハロゲン分子の反応によるハロヒドリン生成で、ハロゲンとOHがanti付加となる理由
水中でのアルケンとハロゲン分子の反応によるハロヒドリン生成の反応機構は下記の通り。
まず、ハロゲン分子を構成する2つのハロゲンのうち、片方の正電荷を帯びる方に対してアルケンのπ電子が供与されてハロゲンが付加し、中間体として三員環のハロゲンカチオン(X+)を生成する。
次に、三員環を構成している炭素のうち、正に分極した炭素(Cδ+)にH2O分子が求核付加するが、H2OがCδ+にアクセスする経路として、ハロゲンカチオン(X+)のいない側の方がアクセスしやすい。X+が上側にいればH2Oは下側からアクセスして付加し、X+が下側にいればH2Oは上側からアクセスして付加する。以上のことから、水中でのアルケンとハロゲン分子の反応によるハロヒドリン生成では、ハロゲンとOHがanti付加となる
★ 水中でのアルケンとハロゲン分子の反応によるハロヒドリン生成で、非対称のアルケンでは、C=Cの2つの炭素のうち、ハロゲンはアルキル置換基の少ない方に付加し、OHは置換基の多い方に付加したものが主生成物となる理由
水中でのアルケンとハロゲン分子の反応によるハロヒドリン生成では、三員環のハロゲンカチオンを経るが、
この時、三員環を構成する炭素のうち、アルキル置換基のより多い方の炭素が正電荷を帯びてCδ+となる(より安定なカルボカチオン中間体を経るのと同様に)。
そして、そのCδ+にH2Oが付加するので、主生成物はアルケンのC=Cのうち、置換基のより多い炭素にOHが付加し、置換基のより少ない炭素にハロゲンが付加したものとなる。