アルケンに対するカルベンの求電子付加反応 93回薬剤師国家試験問6d

第93回薬剤師国家試験 問6d
下記の反応は主生成物の構造を正しく示しているか判定してみよう。

 

アルケン カルベン付加 シクロプロパン化 93回問6d

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薬剤師国家試験過去問題集 化学 アルケン

 

 

93回薬剤師国家試験 問6 解答解説

 

アルケン カルベン付加 シクロプロパン化 93回問6d

 

この反応では、アルケンにカルベンが付加し、シクロプロパンを生成するが、
生成物の立体(cis,trans)にも注意を要する。
本問の出発物はcisアルケンなので、
主生成物はtransシクロプロパンではなく、
cisシクロプロパンとなる。

 

アルケン カルベン付加 シクロプロパン化 93回問6d

 

以下、詳細

 

クロロホルム(CHCl3)に強塩基を反応させると、
一重項カルベンであるジクロロカルベンが生成する。

 

アルケン カルベン付加 シクロプロパン化 93回問6d

 

一重項カルベンの炭素はsp2混成軌道を取り、
オクテット則を満たしておらず、空のp軌道を持つ。
よって、一重項カルベンは電子を欲しがる求電子剤となる。

 

電子不足なジクロロカルベンが、電子豊富なアルケンに対して求電子付加反応を起こし、シクロプロパン体が生成する。反応前後で、アルケンの置換基の立体は保持される。すなわち、cisアルケンからはcisシクロプロパンが、transアルケンからはtransシクロプロパンが生成する。

 

アルケン カルベン付加 シクロプロパン化 93回問6d

 

本問の出発物のアルケンはcis体なので、
主生成物のシクロプロパンもcis体となる。

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