アルケン オキシ(アルコキシ)水銀化−還元 90回薬剤師国家試験問12a
90回薬剤師国家試験 問12a
次の反応aの主生成物の構造の正誤を判定してみよう。
90回薬剤師国家試験 問12a 解答解説
反応aの主生成物の構造は正しい。
本問の反応は、アルケンのアルコキシ水銀化−還元と呼ばれる。
アルケンと酢酸水銀(Hg(OCOCH3)2)と水を反応させ、その後、NaBH4で還元処理すると、HとOHが付加してアルコールが生成する(アルケンのオキシ水銀化−還元)。
アルケンと酢酸水銀(Hg(OCOCH3)2)とアルコールを反応させ、その後、NaBH4で還元処理すると、HとORが付加してエーテルが生成する(アルケンのアルコキシ水銀化−還元)。
オキシ水銀化−還元は、マルコフニコフ型付加である。すなわち、アルケンの2つの炭素のうち、アルキル置換基の数が多い方の炭素にOHまたはORが付加し、アルキル置換基の数が少ない方の炭素にHが付加したものが主生成物となる。
反応aは下記の通り進行する。
★ アルケンのオキシ水銀化−還元の主生成物がマルコフニコフ型である理由
アルケンのオキシ水銀化−還元では、始めに、アルケンに酢酸水銀が付加し、
三員環のマーキュリニウムイオンを生成する。
この時、三員環において、Hgに結合する2つの炭素のうち、
アルキル置換基の数がより多い方の炭素が正電荷を帯び、Cδ+となる方が安定である。
このCδ+に対して、H2Oまたはアルコールが求核付加するので、
最終的に、主生成物がマルコフニコフ型となる。
すなわち、アルケンの2つの炭素のうち、アルキル置換基の数が多い方の炭素にOHまたはORが付加し、アルキル置換基の数が少ない方の炭素にHが付加したものが主生成物となる。
マルコフニコフ則については、下記のリンク先を参照
マルコフニコフ則とは? 82回問4d