アルケンに対する臭素分子付加とメソ体 107回薬剤師国家試験問103の2
107回薬剤師国家試験 問103の2
下記の反応は主生成物としてメソ体を与えるか判定してみよう。
107回薬剤師国家試験 問103の2 解答解説
反応2はアルケンにハロゲン分子(X2)が反応し、
アルケンに対してハロゲンが2つanti付加(trans付加)したものが生成する。
本問の主生成物は、不斉中心を有するが、分子内対称面を持つのでアキラルであり、メソ体(メソ化合物)である。
★ アルケンに対するハロゲン分子(X2)の求電子付加反応がanti付加である理由
まず、ハロゲン分子(X2)のうちの正に分極したX(Xδ+)に対してアルケンのπ電子が供与されてXが付加し、中間体として三員環のハロゲンカチオン(X+)が生成する。
次に、三員環を構成している正に分極した炭素(Cδ+)にハロゲンアニオン(X−)が求核付加するが、X−がCδ+にアクセスする経路として、X+のいない側の方がアクセスしやすい。
このことから、X+が上に付加しているならX−は下に付加し、
X+が下にいるならX−は上に付加する。
以上より、アルケンに対するハロゲン分子(X2)の求電子付加では、
主生成物は2つのハロゲンがanti付加(trans付加)することになる。