薬物の吸収過程における相互作用 95回薬剤師国家試験問159

95回薬剤師国家試験 問159
薬物の吸収過程における相互作用に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。1つ選びなさい。

 

a コレスチラミンは酸性薬物を吸着するため、プラバスタチンの消化管吸収はコレスチラミンの併用により低下する。
b 高脂肪食摂取により、グリセオフルビンの消化管吸収は低下する。
c シメチジンやオメプラゾールは、インドメタシンの胃内吸収を増大させる。
d プロパンテリンは、胃内容排出速度を増加させるので、アセトアミノフェンの吸収速度を増大させる。

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95回薬剤師国家試験 問159 解答解説

 

◆ aについて
a ○ コレスチラミンは酸性薬物を吸着するため、プラバスタチンの消化管吸収はコレスチラミンの併用により低下する。

 

スタチン系薬物やワルファリンなどの酸性薬物と、
陰イオン交換樹脂のコレスチラミンやコレスチミドを同時服用すると、
消化管内において、酸性薬物が陰イオン交換樹脂に吸着され、
酸性薬物の糞便中への排泄が増大し、
酸性薬物の吸収は低下する。

 

薬物の吸収過程における相互作用に関する記述の正誤について 95回薬剤師国家試験問159

 

関連問題
コレスチミドの性質とワルファリンとの相互作用 97回問196,197

 

 

◆ bについて
b × 高脂肪食摂取により、グリセオフルビンの消化管吸収は低下する。
→ 〇 高脂肪食摂取により、グリセオフルビンの消化管吸収は増大する。

 

高脂肪食の摂取により、胆汁の分泌が促進される。
グリセオフルビンのように脂溶性が高く難溶性の薬物は、
高脂肪食を摂取した後に服用すると、
胆汁中の胆汁酸により可溶化されるため、吸収量が増大する。

 

 

◆ cについて
c × シメチジンやオメプラゾールは、インドメタシンの胃内吸収を増大させる。
→ 〇 シメチジンやオメプラゾールは、インドメタシンの胃内吸収を低下させる。

 

インドメタシンは、
インドール酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬であり、酸性薬物である。

 

薬物の吸収過程における相互作用に関する記述の正誤について 95回薬剤師国家試験問159

 

シメチジンやオメプラゾールの作用により、
胃酸分泌が抑制され、胃内のpHが上昇すると、
酸性薬物では胃内での分子形の割合が低下し、
胃内吸収は低下する。

 

 

◆ dについて
d × プロパンテリンは、胃内容排出速度を増加させるので、アセトアミノフェンの吸収速度を増大させる。
→ 〇 プロパンテリンは、胃内容排出速度を低下させるので、アセトアミノフェンの吸収速度を低下させる。

 

プロパンテリン臭化物は、抗コリン薬であるので、
消化管運動を抑制し、胃内容物排出速度を低下させる。
アセトアミノフェンは、小腸で単純拡散により吸収されるので、
プロパンテリン臭化物の作用で胃内容物排出速度が低下すると、
吸収速度は低下する。

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