ピロール,フラン,チオフェンの求電子置換反応の配向性 101回薬剤師国家試験問103の3
第101回薬剤師国家試験 問103の3
芳香族化合物Cの求電子置換反応によるモノブロモ化に関する記述の正誤を判定してみよう。
3 Cは主に3位で反応する。
第101回薬剤師国家試験 問103の3 解答解説
3 × Cは主に3位で反応する。
→ 〇 Cは主に2位で反応する。
★ ピロール,フラン、チオフェンの反応性と配向性
ピロール,フラン、チオフェンなどの5員環のπ過剰系芳香族複素環の求電子置換反応は、主に2位で起こりやすい。
その理由として、環に求電子試薬が付加して生成するカチオン中間体について、2位に付加したカチオンは3位に付加したカチオンよりも多くの共鳴構造式が描かれ、エネルギーが低く安定性が高いことが挙げられる。
π過剰系芳香族複素環の反応性について、環の電子密度がベンゼンよりも高いため、ベンゼンよりも求電子置換反応の反応性が高い。
★ ピリジンの反応性と配向性
6員環のπ不足系芳香族複素環のピリジンの求電子置換反応は3位で起こりやすい。その理由として、ピリジンの共鳴構造式は、2位,4位,6位で正電荷を帯びるように描かれ、相対的に窒素原子と3位炭素の電子密度が高いためである。
ピリジンの芳香族求電子置換反応の反応性について、環の電子密度がベンゼンよりも低いことに加え、窒素原子の非共有電子対がsp2に入っていることから塩基性を示し、触媒となるプロトン酸やルイス酸と反応して塩を形成するため、ピリジンの求電子置換反応の反応性は低く、反応を進めるには高温などの厳しい条件が必要である。むしろ、ピリジンの共鳴構造式は2位,4位,6位で正電荷を帯びるように描かれるため、これらの位置での求核置換反応を起こしやすい。
これら無置換の芳香族複素環の求電子置換反応の配向性の覚え方について、ピロール,フラン、チオフェンは二重結合が2本で描かれるので2位で起こりやすい、ピリジンは二重結合が3本で描かれるので3位で起こりやすいと押さえる方法もある。
他、インドールは3位で求電子置換反応が起こりやすい。
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