芳香族のスルホン化 反応機構・可逆性 88回薬剤師国家試験問8d
第88回薬剤師国家試験 問8d
芳香族化合物に関する記述の正誤を判定してみよう。
d スルホン化は可逆反応である。
第88回薬剤師国家試験 問8d 解答解説
d ○ 芳香族化合物の求電子置換反応のスルホン化は可逆反応である。
芳香族求電子置換反応はスルホン化など一部を除きほとんどが不可逆反応である。遷移状態のエネルギーの高さや中間体の安定性で反応速度が決まり、速度論的に進行する。
一方、芳香環の求電子置換反応によるスルホン化は可逆反応であり、酸触媒下で加熱すると、SO3が脱離する。
なお、芳香族化合物の求電子置換反応のスルホン化は次のように進む。発煙硫酸(濃硫酸に三酸化硫黄を溶解したもの)から+SO3Hが生成する。芳香族化合物に発煙硫酸を反応させると、電子豊富な芳香環の1つの炭素に対して求電子剤の+SO3Hが付加してカルボカチオン中間体を生成し、次に同じ炭素から水素がプロトンとして外れ、結果、芳香環炭素の1つにおいてHとSO3Hが置換したものが生成する(求電子置換反応によるスルホン化)。