芳香族性 総合問題 シクロヘプタトリエン・シクロペンタジエンの芳香族化など 83回薬剤師国家試験問2
第83回薬剤師国家試験 問2
芳香族性の記述ア〜オについて、それぞれに該当する化合物を a 〜 eより選びなさい。
ア ヒドリド(hydride)がとれると、6π電子系となり芳香族化する。
イ 芳香族性はHuckel則(4n+2)でn=2の例である。
ウ 非共有電子は芳香族性に寄与していない。
エ プロトン(proton)がとれると、6π電子系となり芳香族化する。
オ 非共有電子が芳香族性に寄与している。
第83回薬剤師国家試験 問2 解答解説
環状化合物が芳香族性を示す条件は下記の@〜Bの通り。
@ 環を構成する全ての原子がsp2混成軌道をとり、平面構造である。
A 隣り合う原子のp軌道同士がすべて重なり合う。
B 環が4n+2個(n=0,1,2,3…)のπ電子を有する(ヒュッケル則)。
◆ アについて
ア ヒドリド(hydride)がとれると、6π電子系となり芳香族化する。
e(シクロヘプタトリエン)が該当する。
e(シクロヘプタトリエン)のCH2からヒドリド(H:−)がとれると、下記のようなカルボカチオンとなり、これはπ電子数が6個で芳香族性を示す。
◆ イについて
イ 芳香族性はHuckel則(4n+2)でn=2の例である。
aが該当する。π電子数が10個で芳香族性を示す。
◆ ウについて
ウ 非共有電子は芳香族性に寄与していない。
b(ピリジン)が該当する。
ピリジンの窒素原子上の非共有電子対(孤立電子対)は、sp2混成軌道に収容されているため、芳香族性に関与してない。よって、ピリジンの非共有電子対は他原子に供与可能であるため塩基性を示し、水素結合を形成するので水溶性が高い。
◆ エについて
エ プロトン(proton)がとれると、6π電子系となり芳香族化する。
d(シクロペンタジエン)が該当する。
dのCH2からプロトンが取れるとシクロペンタジエニルアニオンが生成する。
シクロペンタジエニルアニオンでは、カルボアニオン(C:−)の非共有電子対がp軌道に入っているので、環のπ電子数が6つであり、π電子数が4n+2というヒュッケル則を満たす。
よって、シクロペンタジエニルアニオンは芳香族性を示す。
◆ オについて
オ 非共有電子が芳香族性に寄与している。
c(ピロール)が該当する。
ピロールの窒素原子上の非共有電子対(孤立電子対)は、p軌道に収容されているため、芳香族性に寄与してる。
非共有電子対が環を非局在化するので他原子に供与されにくい。よって、ピロールは塩基性を示さない。また、水素結合を形成しないので、水溶性が低い。