ニトロベンゼンのメタ配向性と反応性 85回薬剤師国家試験問13d
第85回薬剤師国家試験 問13d
芳香族化合物に対する次の反応における主生成物の正誤を判定してみよう。
第85回薬剤師国家試験 問13d 解答解説
反応dが進行した場合、
パラ置換体ではなくメタ置換体の方が生成しやすいと考えられる。
反応dは、ニトロベンゼンを基質として芳香族求電子置換反応のアルキル化(フリーデル・クラフツ アルキル化)を試みている。
フリーデル・クラフツアルキル化の反応機構は下記のリンク先を参照
フリーデル・クラフツアルキル化の反応機構
ニトロ基のようにO,Nの不飽和結合を含む官能基が置換したベンゼンは、
芳香族求電子置換反応においてメタ配向性を示す。
よって、反応dが進んだ場合、
メタ置換体が生成しやすいと考えられる。
ただし、ニトロベンゼンはニトロ基の電子求引性電子効果でベンゼン環の電子密度が低下し、
求電子付加反応の反応性は低下しているため、
反応は進行しにくいと考えられる。
★ =Oや=NなどのOやNの不飽和結合を含む官能基が置換しているベンゼンにおける求電子置換反応の配向性、反応性
配向性:メタ配向性
反応性:無置換より反応性が低い。
配向性について、=Oや=NなどのOやNの不飽和結合を含む官能基は電子求引性共鳴効果を与えるので、メタ配向性となる。メタ配向性は、OやNの不飽和結合を含む官能基だけである。
反応性について、=Oや=NなどのOやNの不飽和結合を含む官能基は芳香環に対して誘起効果と共鳴効果のどちらも電子求引性電子効果を与えるので、反応性が低くなる。
=Oや=NなどのOやNの不飽和結合を含む官能基として下記が挙げられる。
−NO2(ニトロ基)
−COOH(カルボキシ基)
−COOR(エステル)
−CO−NH−(アミドのカルボニル)
−CO−(アルデヒド,ケトン)
−CN(シアノ基)
−SO2R(スルホ基)