ベンゼンの結合距離,水素化熱 92回薬剤師国家試験問3
第92回薬剤師国家試験 問3
benzene、cyclohexene、cyclohexane及びその誘導体に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a benzeneの炭素原子間の距離は、cyclohexeneの二重結合の炭素原子間の距離より短い。
b benzeneの水素化熱は、cyclohexeneの水素化熱の3倍より小さい。
c cyclohexaneの最安定立体配座は、いす形配座である。
d methylcyclohexaneにおいて、メチル基がアキシアル位にあるいす形配座が最も安定である。
第92回薬剤師国家試験 問3 解答解説
◆ aについて
a × benzeneの炭素原子間の距離は、cyclohexeneの二重結合の炭素原子間の距離より短い。
→ 〇 benzeneの炭素原子間の距離は、cyclohexeneの二重結合の炭素原子間の距離より長い。
芳香環のπ電子は、環の構成原子のp軌道が重なり合ってできた軌道の中で非局在化する(共鳴)。
そのため、芳香環の構成原子同士の結合は、単結合と二重結合の中間のようなものとなる。
よって、benzeneの炭素原子間の距離は、
cyclohexaneの単結合の炭素原子間の距離より短く、
cyclohexeneの二重結合の炭素原子間の距離より長い。
◆ bについて
b ○ benzeneの水素化熱は、cyclohexeneの水素化熱の3倍より小さく、benzeneはその差だけ安定化している。この安定化エネルギーを共鳴エネルギーという。
詳細は下記のリンク先を参照
92回問3b
◆ cについて
c ○ cyclohexaneの最安定立体配座は、いす形配座である。
詳細は下記のリンク先を参照
92回問3c
◆ dについて
d × methylcyclohexaneにおいて、メチル基がアキシアル位にあるいす形配座が最も安定である。
→ ○ methylcyclohexaneにおいて、メチル基がエクアトリアル位にあるいす形配座が最も安定である。
詳細は下記のリンク先を参照
92回問3d