ピリジン 求電子置換の反応性・配向性 ベンゼンとの比較 94回薬剤師国家試験問7e
第94回薬剤師国家試験 問7e
芳香族求電子置換反応に関する記述の正誤を判定してみよう。
e ニトロ化や臭素化の反応性は、ベンゼンよりピリジンのほうが高い。
第94回薬剤師国家試験 問7e 解答解説
e × ニトロ化や臭素化の反応性は、ベンゼンよりピリジンのほうが高い。
→ 〇 ニトロ化や臭素化の反応性は、ベンゼンよりピリジンのほうが低い。
ピリジンやピリミジンなどのように窒素原子を含む6員環の芳香環をπ不足系芳香族複素環(π欠如系芳香族複素環)という。キノリンやイソキノリンなどのように、構造の一部に窒素原子を含む6員環の芳香環を含むものもπ不足系芳香族複素環である。
・π欠如(不足)系芳香族複素環
“π不足系芳香族”と呼ばれる理由は、電気陰性度の高い窒素原子が電子を引き付けることにより、環炭素の1つ当たりの電子密度が低下しているからである。
π不足系芳香族複素環は環の電子密度が低下しているので、芳香族求電子置換反応の反応性がベンゼンに比べて低い。
さらに、π不足系芳香族複素環では窒素原子の非共有電子対がsp2に入っていることから塩基性を示し、触媒となるプロトン酸やルイス酸と反応して塩を形成する。このこともπ不足系芳香族複素環で求電子置換反応の反応性が低くなる要因となる。反応を進めるには高温などの厳しい条件が必要である。
なお、配向性について、6員環のπ不足系芳香族複素環のピリジンの求電子置換反応は3位で起こりやすい。その理由として、ピリジンの共鳴構造式は、2位,4位,6位で正電荷を帯びるように描かれ、相対的に窒素原子と3位炭素の電子密度が高いためである。