ピロール 求電子置換反応の反応性・配向性 95回薬剤師国家試験問10c
第95回薬剤師国家試験 問10c
芳香族化合物に関する記述の正誤を判定してみよう。
c ピロールヘの求電子的ニトロ化反応は、ベンゼンヘの求電子的ニトロ化反応より起こりにくい。
第95回薬剤師国家試験 問10c 解答解説
c × ピロールヘの求電子的ニトロ化反応は、ベンゼンヘの求電子的ニトロ化反応より起こりにくい。
→ 〇 ピロールヘの求電子的ニトロ化反応は、ベンゼンヘの求電子的ニトロ化反応より起こりやすい。
ピロール,フラン,チオフェンといった5員環の芳香環は、6つのπ電子が5つの原子に分散されるため、ベンゼンに比べて環1つ当たりの電子密度が高い。よって、このような5員環の芳香族複素環をπ過剰系芳香族複素環という。
π過剰系芳香族複素環はベンゼンに比べて環の電子密度が高いので、求電子置換反応の反応性はベンゼンに比べて高い。
なお、配向性について、ピロール,フラン、チオフェンなどの5員環のπ過剰系芳香族複素環の求電子置換反応は、主に2位で起こりやすい。その理由として、環に求電子試薬が付加して生成するカチオン中間体について、2位に付加したカチオンは3位に付加したカチオンよりも多くの共鳴構造式が描かれ、エネルギーが低く安定性が高いことが挙げられる。
インドールは構造中に5員環の芳香族複素環を含むのでπ過剰系芳香族複素環であり、芳香族求電子置換反応は3位で起こりやすい。