芳香族求電子置換反応 置換基と立体障害・反応性・配向性の関係 94回薬剤師国家試験問7abcd

第94回薬剤師国家試験 問7abcd
芳香族求電子置換反応における置換基効果に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

a ベンゼン環に電子供与基が置換すると,ニトロ化や臭素化の反応性は高くなる。

 

b ブロモベンゼンやクロロベンゼンは,オルト,パラ配向性であり,ベンゼンよりもニトロ化や臭素化の反応性は高い。

 

c ニトロベンゼン,安息香酸,アセトフェノンはすべてメタ配向性である。

 

d オルト,パラ配向性基が置換した一置換ベンゼンの臭素化では,置換基の種類に関わらず,オルト置換とパラ置換生成物の比率は一定である。

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薬剤師国家試験過去問題集 化学 芳香族化合物

 

第94回薬剤師国家試験 問7abcd 解答解説

 

◆ aについて
a ○ ベンゼン環に電子供与基が置換すると,ニトロ化や臭素化の反応性は高くなる。

 

 電子供与基が置換することで芳香環の電子密度が高まると求電子置換反応の反応性は高まり、電子求引基が置換することで芳香環の電子密度が低下すると求電子置換反応の反応性は低下する。

 

 

◆ bについて
b × ブロモベンゼンやクロロベンゼンは,オルト,パラ配向性であり,ベンゼンよりもニトロ化や臭素化の反応性は高い。
→ 〇 ブロモベンゼンやクロロベンゼンは,オルト,パラ配向性であるが,ベンゼンよりもニトロ化や臭素化の反応性は低い。

 

★ 芳香族求電子置換反応におけるハロゲンの置換基効果

 

配向性:オルト・パラ配向性
反応性:無置換より反応性が低い。

 

配向性について、ハロゲンが持つ非共有電子対が共鳴効果で供与されるため(電子供与性共鳴効果)、オルト・パラ配向性となる。
反応性について、芳香環には総合的に電子求引性電子効果を与えるので、反応性が低くなる。
ハロゲンは芳香環に対して電子供与性の共鳴効果(+R)と電子求引性の誘起効果(−I)を与えるが、ハロゲンでは−Iの方が+Rよりも強いため、結果として、芳香環に対して電子求引性の電子効果を与えることになる。

 

芳香族求電子置換反応 置換基と立体障害・反応性・配向性の関係 94回問7abcd

 

 

★ 芳香族化合物における置換基による求電子置換反応の進行の比較

 

芳香族求電子置換反応 置換基と立体障害・反応性・配向性の関係 94回問7abcd

 

 

◆ cについて
c ○ ニトロベンゼン,安息香酸,アセトフェノンはすべてメタ配向性である。

 

ニトロベンゼン,安息香酸,アセトフェノンは、いずれも芳香環にO,Nの不飽和結合を含む官能基が置換している。

 

芳香族求電子置換反応 置換基と立体障害・反応性・配向性の関係 94回問7abcd

 

★ 芳香族求電子置換反応における=Oや=N等のO,Nの不飽和結合を含む官能基の置換基効果

 

配向性:メタ配向性
反応性:無置換より反応性が低い。

 

配向性について、=Oや=N等のOやNの不飽和結合を含む官能基は電子求引性共鳴効果を与えるので、メタ配向性となる。メタ配向性は、OやNの不飽和結合を含む官能基だけである。
反応性について、=Oや=N等のOやNの不飽和結合を含む官能基は芳香環に対して誘起効果と共鳴効果のどちらも電子求引性電子効果を与えるので、反応性が低くなる。

 

芳香族求電子置換反応 置換基と立体障害・反応性・配向性の関係 94回問7abcd

 

=Oや=N等のOやNの不飽和結合を含む官能基として下記が挙げられる。

 

−NO2(ニトロ基)
−COOH(カルボキシ基)
−COOR(エステル)
−CO−NH−(アミドのカルボニル)
−CO−(アルデヒド,ケトン)
−CN(シアノ基)
−SO2R(スルホ基)

 

 

芳香族求電子置換反応の配向性・反応性については下記のリンク先を参照
芳香族求電子置換反応の配向性・反応性

 

 

◆ dについて
d × オルト,パラ配向性基が置換した一置換ベンゼンの臭素化では,置換基の種類に関わらず,オルト置換とパラ置換生成物の比率は一定である。

 

 オルト,パラ配向性を与える置換基同士でも、置換基の種類により、オルト置換体が主生成物だったり、パラ置換体が主生成物であったりする。
例えば、立体的にサイズが大きいという特徴があれば、オルト位は立体障害で反応が進みにくいので、パラ位で反応が進みやすくなる。

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