シクロペンタジエンの脱ヒドリド・脱プロトンと芳香族性 97回薬剤師国家試験問107の3
第97回薬剤師国家試験 問107の3
次の記述3の正誤を判定してみよう。
3 Aからヒドリドがとれて生じる化合物は芳香族性を示す。
第97回薬剤師国家試験 問107 3 解答解説
3 × Aからヒドリド(H:−)がとれて生じる化合物は芳香族性を示す。
→ 〇 Aからプロトン(H+)がとれて生じる化合物は芳香族性を示す。
環状化合物が芳香族性を示す条件は下記の@〜Bの通り。
@ 環を構成する全ての原子がsp2混成軌道をとり、平面構造である。
A 隣り合う原子のp軌道同士がすべて重なり合う。
B 環が4n+2個(n=0,1,2,3…)のπ電子を有する(ヒュッケル則)。
Aからヒドリド(H:-)が取れるとシクロペンタジエニルカチオンが生成する。
シクロペンタジエニルカチオンでは、カルボカチオン(C+)のp軌道が空なので、環のπ電子数が4つであり、π電子数が4n+2というヒュッケル則を満たさない。
よって、シクロペンタジエニルカチオンは芳香族性を示さない。
一方、Aからプロトンが取れるとシクロペンタジエニルアニオンが生成する。
シクロペンタジエニルアニオンでは、カルボアニオン(C:−)の非共有電子対がp軌道に入っているので、環のπ電子数が6つであり、π電子数が4n+2というヒュッケル則を満たす。
よって、シクロペンタジエニルアニオンは芳香族性を示す。