芳香族と酸無水物・酸塩化物との反応 フリーデル・クラフツアシル化 92回問薬剤師国家試験10de
第92回薬剤師国家試験 問10de
無水酢酸を試薬に用いる下記の反応に関する記述のうち正誤を判定してみよう。
d 反応のAlCl3はルイス塩基として作用する。
e 反応で無水酢酸の代わりに塩化アセチルを用いることができる。
第92回薬剤師国家試験 問10de 解答解説
d × 反応のAlCl3はルイス塩基として作用する。
→ 〇 反応のAlCl3はルイス酸として作用する。
e ○ 反応で無水酢酸の代わりに塩化アセチルを用いることができる。
設問の反応は芳香族化合物のフリーデル・クラフツ アシル化反応だと考えられる。
★ 芳香族求電子置換反応のフリーデル・クラフツ アシル化反応
芳香族求電子置換反応について、
芳香環に求電子試薬としてアシルカチオン(R−C+=O)を反応させ、
芳香環上で水素とアシル基を置換させる反応をフリーデル・クラフツ アシル化反応と呼ぶ。
酸ハロゲン化物や酸無水物とAlCl3やBF3などのルイス酸を反応させると、
酸ハロゲン化物や酸無水物が電子対をルイス酸の空軌道を持つ原子に供与し、
アシルカチオン(R−C+=O)を生成する。
ルイス酸とは電子対を受け取る物質であり、
ルイス塩基とは電子対を供与する物質である。
酸塩化物や酸無水物が電子対を供与し、
空軌道を持つ金属原子やホウ素原子(B)が電子対を受け取る。
よって、
酸塩化物や酸無水物がルイス塩基であり、
AlCl3やBF3がルイス酸である。
芳香環に対して求電子試薬のアシルカチオン(R−C+=O)を反応させると、
芳香環において水素とアシル基(R−C=O)が置換する求電子置換反応が進行する。
無水酢酸の代わりに下記の酸塩化物である塩化アセチルを用いても、同様にアシルカチオンが生成し、フリーデル・クラフツ アシル化は進む。