ベンゼンの水素化熱 共鳴安定化エネルギー 92回薬剤師国家試験問3b
第92回薬剤師国家試験 問3b
benzene、cyclohexene、cyclohexane及びその誘導体に関する記述の正誤を判定してみよう。
b benzeneの水素化熱は、cyclohexeneの水素化熱の3倍より小さく、benzeneはその差だけ安定化している。この安定化エネルギーを共鳴エネルギーという。
第92回薬剤師国家試験 問3b 解答解説
b ○ benzeneの水素化熱は、cyclohexeneの水素化熱の3倍より小さく、benzeneはその差だけ安定化している。この安定化エネルギーを共鳴エネルギーという。
芳香族化合物は共鳴によりエネルギーが低くなり安定化している。
共鳴によるエネルギーの低下分を共鳴エネルギー(共鳴安定化エネルギー)という。
シクロヘキセンの二重結合に水素(H2)を付加して単結合にするのに伴い放出される熱(水素加熱)は−119kJ/molである。
ベンゼンはケクレ構造で二重結合が3つあるように描かれるが、
その水素化熱はシクロヘキセンの水素化熱を単純に3倍した値の3×(−119kJ/mol)=−357kJ/molではなく、
−206kJ/molである。
これは、ベンゼンが共鳴によりエネルギーが低くなり安定化するためである。
ベンゼンの共鳴エネルギー(共鳴安定化エネルギー)は151kJ/molと概算される。