ピリジンとピロールの水溶性と水素結合 96回薬剤師国家試験問9c
第96回薬剤師国家試験 問9c
ピリジンに関する記述の正誤を判定してみよう。
c ピリジンはほとんど水に溶けない。
第96回薬剤師国家試験 問9c 解答解説
c × ピリジンほとんど水に溶けない。
→ 〇 ピリジンは水に溶けやすい。
ピリジンやピリミジンなどのように窒素原子を含む6員環の芳香環をπ欠如(不足)系芳香族複素環という。
キノリンやイソキノリンなどのように、構造の一部に窒素原子を含む6員環の芳香環を含むものもπ欠如(不足)系芳香族複素環である。
π欠如(不足)系芳香族複素環は、構造中に非共有電子対がsp2混成軌道に入る窒素原子を含み、この窒素原子が水分子と水素結合を形成する。そのため、ピリジンとピリミジンは水と任意の割合で混ざる。しかし、キノリンやイソキノリンは疎水性のベンゼン環を含むため、ピリジンとピリミジンと比べて水溶性が低い。
なお、ピロールでは、窒素原子の非共有電子対がp軌道に入り環を非局在化するため、水分子と水素結合を形成しないので水に難溶性である。