粉体の個数基準の粒度分布曲線 104回薬剤師国家試験問172
104回薬剤師国家試験 問172
球形粒子から成るある粉体を分級して得られた粉体A及びBの個数基準の粒度分布曲線を図に示した。
この図から考えられることとして、適切なのはどれか。2つ選びなさい。
1 粉体Aは粉体Bより小さな安息角を示す。
2 粉体Aは粉体Bより小さな空隙率を示す。
3 粉体Aは粉体Bより小さなかさ密度を示す。
4 粉体Aは粉体Bより小さな比表面積を示す。
5 粒度分布を質量基準で表すと、粉体Aのモード径は30μm より大きくなる。
104回薬剤師国家試験 問172 解答解説
図より粉体Aの方が粉体Bよりも粒子径は小さいと考えられる。
これを基に選択肢の正誤を判断する。
◆ 1について
1 × 粉体Aは粉体Bより小さな安息角を示す。
→ 〇 粉体Aは粉体Bより大きな安息角を示す。
一般に、粉体の粒子径が小さいほど、
付着力・凝集力は大きくなり、
流動性は悪くなるので、安息角は大きくなる。
よって、相対的に粒子径の小さい粉体Aの方が安息角は大きくなる。
◆ 2について
2 × 粉体Aは粉体Bより小さな空隙率を示す。
→ 〇 粉体Aは粉体Bより大きな空隙率を示す。
一般に、粉体の粒子径が小さいほど、
付着力・凝集力は大きくなり、
粒子同士が固まってしまうので、空隙が大きくなり、
充填性は悪くなる。
よって、相対的に粒子径の小さい粉体Aの方が空隙率は大きくなる。
◆ 3について
3 〇 粉体Aは粉体Bより小さなかさ密度を示す。
かさ密度(みかけ密度)とは空隙を含む粉体の密度であり、
質量をかさ体積(みかけ体積)で割った値であり、
次式で計算される。
かさ体積(みかけ体積)とは空隙を含む粉体の体積である。
粒子径が小さいほど、空隙が大きくなり、かさ体積は大きくなる。
よって、相対的に粒子径の小さい粉体Aの方が空隙は大きく、
かさ体積は大きいので、かさ密度は小さくなる。
◆ 4について
4 × 粉体Aは粉体Bより小さな比表面積を示す。
→ 〇 粉体Aは粉体Bより大きな比表面積を示す。
比表面積(m2/g)とは単位質量当たりの表面積である。
一般に、粒子径が小さいほど比表面積は大きくなる。
よって、相対的に粒子径の小さい粉体Aの方が比表面積は大きくなる。
関連問題
粉体の比表面積と平均粒子径 107回問177の5
◆ 5について
5 〇 粒度分布を質量基準で表すと、粉体Aのモード径は30μmより大きくなる。
同一の粉体における質量基準と個数基準の粒度分布の比較では、
質量基準の方が粒子径の大きい粒度分布となる。
設問の図は個数基準の粒度分布曲線であり、
粉体Aのモード径は30μmである。
よって、粉体Aの粒度分布を質量基準で表すと、
そのモード径は個数基準の30μmよりも大きくなる。
関連問題
個数基準と質量基準の分布から得られるモード径 91回問166c
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104回問172(e-RECさん)