93回薬剤師国家試験問167 粉体の粒度分布、比表面積に関する記述

93回薬剤師国家試験 問167
粉体の粒度分布、比表面積に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

a Langmuir式やBET式を用いるガス吸着法は、いずれも試料粉体表面におけるガスの単分子層吸着量を算出し、比表面積を求める方法である。
b マーチン径は、粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径に相当する。
c メジアン径は、質量基準及び個数基準の累積分布曲線における50%累積値に対応する粒子径である。
d 粉体の粒度分布は、一般に正規分布になる。

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93回薬剤師国家試験 問167 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 Langmuir式やBET式を用いるガス吸着法は、いずれも試料粉体表面におけるガスの単分子層吸着量を算出し、比表面積を求める方法である。

 

比表面積(m2/g)とは単位質量当たりの表面積である。
吸着法は粉体粒子の比表面積の測定法であり、気体や液体分子が試料粒子の表面を単分子層で覆うのに必要な分子数から粉体の比表面積を求める。
吸着法では、Langmuir式やBET式を用い、試料粉体表面における単分子層吸着量を算出し、比表面積を求める。

 

なお、比表面積から粉体の平均粒子径を求めることはできるが、
粒子径分布は得られない。

 

 

◆ bについて
b × マーチン径は、粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径に相当する。

 

顕微鏡法で得られる粒子径の定義に関する問題である。
マーチン径(定方向面積等分径)とは、粒子の投影面積を二等分する一定方向の線分の長さを粒子径とするものである。
設問の記述の「粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径で表した粒子径」はヘイウッド径(投影面積円相当径)である。

 

他、フェレー径(定方向接線径)とは、粒子を一定方向の二つの平行線ではさみ、その平行線間の長さを粒子径とするものであり、グリーン径とも呼ばれる。
定方向最大径とは、粒子の定方向の線分の最大幅を粒子径とするものであり、クルムバイン径とも呼ばれる。

 

 

◆ cについて
c 〇 メジアン径は、質量基準及び個数基準の累積分布曲線における50%累積値に対応する粒子径である。

 

粒度分布から得られる粒子径について、
メジアン径とは、下の図で示す通り累積分布曲線(積算分布曲線)で累積値50%に相当する粒子径である。

 

93回薬剤師国家試験問167 粉体の粒度分布、比表面積に関する記述

 

また、粒度分布から得られる粒子径について、
モード径とは、頻度分布曲線の最大値に相当する粒子径である。
詳細は下記のリンク先を参照
個数基準と質量基準の分布から得られるモード径 91回問166c

 

 

◆ dについて
d × 粉体の粒度分布は、一般に正規分布になる。

 

一般に、粉体の粒度分布は左右対称な正規分布にはならず、
左右非対称な分布になる。

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