エルダーの仮説 混合物の臨界相対湿度CRHの計算 90回薬剤師国家試験問168
90回薬剤師国家試験 問168
クエン酸及び白糖の25℃での臨界相対湿度(CRH)は、それぞれ70.0%及び84.5%であるエルダーの仮説が成り立つとすると、両者を質量比1:3(クエン酸:白糖)で混合した試料のCRH(%)に最も近い値はどれか。
1 42
2 59
3 70
4 77
5 81
90回薬剤師国家試験 問168 解答解説
正解は2の59である。
水溶性の結晶性粉体の吸湿量は、ある相対湿度以上になると急激に吸湿量が大きくなる。その境となる相対湿度を臨界相対湿度(critical relative humidity:CRH)と呼ぶ。
水溶性の結晶性粉体同士を混合すると臨界相対湿度(CRH)は低下する。
水溶性の結晶性粉体の混合物のCRHは、個々の粉体のCRHの積に等しい。これをエルダーの仮説と呼ぶ。
水溶性の結晶性粉体AとBの混合物ABの臨界相対湿度(CRHAB)について、エルダーの仮説より次の@式が成り立つ。
CRHAB = CRHA×CRHB …@
CRHA:水溶性粉体Aの臨界相対湿度
CRHB:水溶性粉体Bの臨界相対湿度
クエン酸及び白糖の25℃での臨界相対湿度(CRH)は、
それぞれ70.0%及び84.5%であり、
エルダーの仮説が成り立つので、
混合物の臨界相対湿度(CRH)は下記のように求められる。
CRHAB = CRHA×CRHB …@ より
CRHク白 = CRHク×CRH白
= 0.7 × 0.845
≒ 0.59
このように、水溶性粉体の混合物の臨界相対湿度(CRH)は、
個々の水溶性粉体の臨界相対湿度よりも低くなる。
水溶性粉体の混合物の臨界相対湿度について、
混合物中に共通イオンがあったり、複合体を形成するなど、
エルダーの仮説が成り立たない場合もある。
なお、水溶性の結晶性粉体同士を混合すると臨界相対湿度は低下するが、
水溶性の結晶性粉体と水不溶性の結晶性粉体を混合しても臨界相対湿度は低下しない。