90回薬剤師国家試験問167 固体粒子・粉体の性質に関する記述

90回薬剤師国家試験 問167
固体粒子・粉体の性質に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a 無晶形は、粒子を構成する分子や原子が規則的に配列し、結晶に比べて低いエネルギー状態にある。
b ガス吸着法や空気透過法による粒子径測定では、粒度分布は得られない。
c 粒子のぬれやすさは、粒子と液体の固−液界面張力には依存しない。
d 粉体の内部摩擦係数と付着力が小さいほど、流動性は良い。

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90回薬剤師国家試験 問167 解答解説

 

◆ aについて
a × 無晶形は、粒子を構成する分子や原子が規則的に配列し、結晶に比べて低いエネルギー状態にある。

 

結晶は粒子を構成する分子や原子が規則的に配列したものである。
無晶形(非晶質)は、粒子を構成する分子や原子が不規則に配列したものであり、結晶に比べて高いエネルギー状態にあり、不安定である。
非晶質は熱力学的に平衡状態ではなく、温度変化や吸湿などで安定な結晶形に変化することがある。
なお、一般に、非晶質は結晶形に比べて溶解度が高い。

 

関連問題
・非晶質は熱力学的に非平衡状態 98回問175の1

 

・非晶質の医薬品を高湿度下に保存すると水分の収着により結晶化 103回問174の3

 

 

◆ bについて
b 〇 ガス吸着法や空気透過法による粒子径測定では、粒度分布は得られない。

 

ガス吸着法や空気透過法は粉体の比表面積を測定する方法である。
これらの方法より得られた比表面積から計算により平均粒子径を求められるが、
個々の粒子径は得られないため、粒度分布は得られない。

 

 

◆ cについて
c × 粒子のぬれやすさは、粒子と液体の固−液界面張力には依存しない。

 

ぬれとは、固体−気体界面に液体が接触し、固体−気体界面が固体−液体界面に置き換わる現象である。
下の図はぬれを示したものであるが、
ぬれは固―気界面張力、液―気界面張力、固―液界面張力に依存する。

 

90回薬剤師国家試験問167 無晶形とエネルギー,吸着法・吸着法と粒度分布

 

ぬれの平衡状態では各界面張力と接触角θについて次のヤングの式が成り立つ。
γS = γSL + γL・cosθ

 

 

◆ dについて
d 〇 粉体の内部摩擦係数と付着力が小さいほど、流動性は良い。

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