粉体の性質に関する記述 107回薬剤師国家試験問177

107回薬剤師国家試験 問177
粉体の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 顕微鏡法により得られた粒子の投影像を一定方向の2本の平行線で挟んだとき、平行線間の長さに相当する粒子径をマーチン径という。
2 同一粉体において、質量基準による粒度分布の平均粒子径より、個数基準による粒度分布の平均粒子径の方が小さい。
3 水溶性の結晶性粉体の臨界相対湿度は、水不溶性の結晶性粉体と混合することで低下する。
4 真密度1.4g/cm3、空隙率0.5の粉末70 g の空隙体積が2/5 になるまで圧縮した際のみかけの密度は1.0 g/cm3 である。
5 試料粉体の比表面積と平均粒子径が比例することから、比表面積を測定することで試料粉体の平均粒子径を求めることができる。

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107回薬剤師国家試験 問177 解答解説

 

◆ 1について
1 × 顕微鏡法により得られた粒子の投影像を一定方向の2本の平行線で挟んだとき、平行線間の長さに相当する粒子径をマーチン径という。
→ 〇 顕微鏡法により得られた粒子の投影像を一定方向の2本の平行線で挟んだとき、平行線間の長さに相当する粒子径をフェレー径という。

 

顕微鏡法による主な粒子径の定義は下記の通り。
フェレー径(定方向接線径)とは、粒子を一定方向の二つの平行線ではさみ、その平行線間の長さを粒子径とするものであり、グリーン径とも呼ばれる。

 

マーチン径(定方向面積等分径)とは、粒子の投影面積を二等分する一定方向の線分の長さを粒子径とするものである。

 

ヘイウッド径(投影面積円相当径)とは、粒子と同じ投影面積を持つ円の直径を粒子径とするものである。

 

定方向最大径とは、粒子の定方向の線分の最大幅を粒子径とするものであり、クルムバイン径とも呼ばれる。

 

関連問題
マーチン径とヘイウッド径 91回問166e

 

 

◆ 2について
2 〇 同一粉体において、質量基準による粒度分布の平均粒子径より、個数基準による粒度分布の平均粒子径の方が小さい。

 

質量基準による粒度分布の平均粒子径は、
個数基準による粒度分布の平均粒子径よりも大きい。

 

関連問題
個数基準と質量基準の分布から得られるモード径 91回問166c

 

 

◆ 3について
3 × 水溶性の結晶性粉体の臨界相対湿度は、水不溶性の結晶性粉体と混合することで低下する。
→ 〇 水溶性の結晶性粉体の臨界相対湿度は、水不溶性の結晶性粉体と混合しても変化しない。

 

水溶性の結晶性粉体同士を混合すると臨界相対湿度(CRH)は低下するが、
水溶性の結晶性粉体と水不溶性の結晶性粉体を混合しても臨界相対湿度は低下しない。

 

関連問題
エルダーの仮説 混合物の臨界相対湿度CRH 90回問168

 

 

◆ 4について
4 〇 真密度1.4g/cm3、空隙率0.5の粉末70 g の空隙体積が2/5 になるまで圧縮した際のみかけの密度は1.0 g/cm3 である。

 

詳細は下記のリンク先を参照
空隙体積が2/5になるまで圧縮した際のみかけの密度 107回問177の4

 

 

◆ 5について
5 × 試料粉体の比表面積と平均粒子径が比例することから、比表面積を測定することで試料粉体の平均粒子径を求めることができる。
→ 〇 試料粉体の比表面積と平均粒子径が反比例することから、比表面積を測定することで試料粉体の平均粒子径を求めることができる。

 

比表面積(m2/g)とは単位質量当たりの表面積である。

 

粉体の平均粒子径(d)と比表面積(Sw)の関係は次式で表される。

 

107回薬剤師国家試験問177 粉体の性質に関する記述

 

上式より、粉体の比表面積と平均粒子径は反比例し、
比表面積から平均粒子径を求めることができる。

 

なお、粉体の比表面積測定法として、
透過法(Kozeny-Carman式を用いる方法)や、
吸着法(Langmuir式やBET式を用いる方法)がある。

 

関連問題
比表面積測定による粒子径測定では、粒度分布は得られない 97回験問176の5

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
107回問177(e-RECさん)

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