懸濁剤の沈降法による粒子径測定 107回薬剤師国家試験問179

107回薬剤師国家試験 問179
図の装置を用いて、懸濁剤に分散している球状の粉末粒子の粒子径を測定した。本測定に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
ただし、分散媒、分散粒子の密度はそれぞれ1.0 g/cm3、2.0 g/cm3とする。

 

懸濁剤の沈降法による粒子径測定 107回薬剤師国家試験問179

 

1 アンドレアゼンピペットを用いた沈降法による粒子径測定である。
2 ラングミュア式を利用して粒子径を算出する。
3 コロイド粒子の粒子径を測定することができる。
4 懸濁剤に分散している粒子径を1/3にすると、分散粒子の沈降速度は1/3 になる。
5 増粘剤添加により分散媒の粘度を1.6倍、分散媒の密度を1.2 g/cm3 にすると、分散粒子の沈降時間は2倍になる。

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107回薬剤師国家試験 問179 解答解説

 

◆ 1,2について
1 〇 アンドレアゼンピペットを用いた沈降法による粒子径測定である。

 

2 × ラングミュア式を利用して粒子径を算出する。
沈降法では、粒子径を求めるのにストークス式が用いられる。

 

なお、ラングミュアー式(Langmuir式)は、
ガス吸着法によって粉体の比表面積を求めるときに用いる式である。

 

 

◆ 3について
3 × コロイド粒子の粒子径を測定することができる。

 

コロイド粒子の粒子径は1nm〜1μmである。
コロイド粒子はブラウン運動を起こして沈降しないため、
沈降法による粒子径の測定はできない。

 

 

◆ 4について
4 × 懸濁剤に分散している粒子径を1/3にすると、分散粒子の沈降速度は1/3 になる。
→ 〇 懸濁剤に分散している粒子径を1/3にすると、分散粒子の沈降速度は1/9 になる。

 

沈降法では、粒子径を求めるのに下記のストークス式が用いられる。

 

懸濁剤の沈降法による粒子径測定 107回薬剤師国家試験問179

 

 

◆ 5について
5 〇 増粘剤添加により分散媒の粘度を1.6倍、分散媒の密度を1.2 g/cm3 にすると、分散粒子の沈降時間は2倍になる。

 

下記のストークス式より、
懸濁剤の沈降法による粒子径測定 107回薬剤師国家試験問179

 

沈降時間(t)は、分散媒の粘度(η)に比例し、
分散粒子の密度と分散媒の密度の差(ρ−ρ0)に反比例する。

 

増粘剤添加前の分散粒子の密度と分散媒の密度の差(ρ−ρ0)は、
2.0 g/cm3−1.0 g/cm3 = 1.0 g/cm3であり、
増粘剤添加後の分散粒子の密度と分散媒の密度の差(ρ−ρ0)は、
2.0 g/cm3−1.2 g/cm3 = 0.8 g/cm3であるので、
増粘剤添加によりρ−ρ0は0.8倍になった。
また、増粘剤添加により分散媒の粘度は1.6倍になった。

 

以上のことから、
沈降時間(t)は、分散媒の粘度(η)に比例し、ρ−ρ0に反比例するので、
増粘剤添加により、
1.6×(1/0.8) = 2 より、
2倍になる。

 

 

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