94回薬剤師国家試験問168 粉体の性質及びその評価法

94回薬剤師国家試験 問168
粉体の性質及びその評価法に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

1 一般に、粉体のかさ密度は粒子密度に比べて大きい。
2 粉体層のみかけ体積に対する粒子の実体積の割合を充てん率といい、充てん率の逆数を粉体の空隙率という。
3 密度が同一な球形粒子からなる粉体では、それぞれの粉体の平均粒子径は比表面積に反比例する。
4 コールターカウンター法では、個々の粒子の粒子径と同時に粒子形状の情報が得られる。
5 レーザー回折法は粉体の粒子径の測定法の1つであり、粉体の結晶性も評価できる。

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94回薬剤師国家試験 問168 解答解説

 

◆ 1について
1 × 一般に、粉体のかさ密度は粒子密度に比べて大きい。
→ 〇 一般に、粉体のかさ密度は粒子密度に比べて小さい。

 

かさ密度(みかけ密度)とは空隙を含む粉体の密度であり、
真密度(粒子密度)とは、空隙を含まない粉体の密度である。
よって、かさ密度は真密度より小さい。

 

詳細は下記のリンク先を参照
粉体のかさ密度と真密度 94回薬問168の1

 

 

◆ 2について
2 × 粉体層のみかけ体積に対する粒子の実体積の割合を充てん率といい、充てん率の逆数を粉体の空隙率という。

 

充填率とは粉体のみかけ体積に対する粒子の実体積(真体積)の割合であり、
次式で計算される。

 

94回薬剤師国家試験問168 充填率と空隙率,コールターカウンター法

 

空隙率とは、みかけ体積(かさ体積)に対する空隙の占める割合であり、
次式で計算される。

 

94回薬剤師国家試験問168 充填率と空隙率,コールターカウンター法

 

以上より、
空隙率と充填率について、次の関係式が成り立つ。

 

94回薬剤師国家試験問168 充填率と空隙率,コールターカウンター法

 

 

◆ 3について
3 〇 密度が同一な球形粒子からなる粉体では、それぞれの粉体の平均粒子径は比表面積に反比例する。

 

比表面積(m2/g)とは単位質量当たりの表面積である。
粉体の比表面積と平均粒子径は反比例し、
比表面積から平均粒子径を求めることができる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
粉体の比表面積と平均粒子径は反比例する 107回問177の5

 

 

◆ 4について
4 × コールターカウンター法では、個々の粒子の粒子径と同時に粒子形状の情報が得られる。
→ 〇 コールターカウンター法では、個々の粒子の粒子径の情報は得られるが、粒子形状の情報は得られない。

 

コールターカウンター法とは、粒子を電解質溶液に分散させ、両側に電極を置いた細孔を粒子が通過する際に発生する電気パルスを解析する粒子径測定法である。
コールターカウンター法では、パルスの数から粒子の数がわかり、パルスの高さから粒子の大きさがわかるので、
個数基準の粒子径分布と体積基準の粒子径分布が得られる。
コールターカウンター法では粒子形状の情報は得られない。

 

 

◆ 5について
5 × レーザー回折法は粉体の粒子径の測定法の1つであり、粉体の結晶性も評価できる。
→ 〇 レーザー回折法は粉体の粒子径の測定法の1つであるが、粉体の結晶性は評価できない。

 

レーザー回折・散乱法とは、粒子にレーザー光を照射して生じる散乱現象や回折現象を解析する粒子径測定法であり、体積基準の粒子径分布が得られる。
レーザー回折・散乱法では粉体の結晶性は評価できない。
粉体の結晶性の評価にはX線回折法などが用いられる。

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