医薬品粉体のぬれ及び吸湿に関する記述 101回薬剤師国家試験問174

101回薬剤師国家試験 問174
医薬品粉体のぬれ及び吸湿に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ぬれやすいほど粉体に対する液体の接触角が大きい。
2 水溶性の結晶性粉体では、臨界相対湿度(CRH)未満において急激な吸湿は起こらない。
3 CRH では、粉体粒子表面を覆う薬物の飽和水溶液の水蒸気圧と、空気中の水蒸気圧が等しい。
4 粉体は、吸湿により安息角が減少する。
5 2種類の水溶性の結晶性粉体を混合して得られた粉体のCRH は、個々の粉体のCRHと比べて高い。

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101回薬剤師国家試験 問174 解答解説

 

◆ 1について
1 × ぬれやすいほど粉体に対する液体の接触角が大きい。
→ 〇 ぬれやすいほど粉体に対する液体の接触角が小さい。

 

ぬれとは、固体−気体界面に液体が接触し、固体−気体界面が固体−液体界面に置き換わる現象である。

 

下の図はぬれを示したものであるが、
図の角度Aが接触角である。

 

医薬品粉体のぬれ及び吸湿に関する記述 101回薬剤師国家試験問174

 

接触角が小さいほど、液体が固体表面を広がる範囲が広くなる。
よって、接触角が小さいほどぬれやすいことを示す。
以上より、
ぬれやすいほど粉体に対する液体の接触角が小さいといえる。

 

関連問題
拡張ぬれ,浸透ぬれ,付着ぬれと接触角 86回問169

 

 

◆ 2,3について
2 〇 水溶性の結晶性粉体では、臨界相対湿度(CRH)未満において急激な吸湿は起こらない。
3 〇 CRH では、粉体粒子表面を覆う薬物の飽和水溶液の水蒸気圧と、空気中の水蒸気圧が等しい。

 

詳細は下記のリンク先を参照
臨界相対湿度(CRH)と吸湿量 101回問174の2,3

 

 

◆ 4について
4 × 粉体は、吸湿により安息角が減少する。
→ 〇 粉体は、吸湿により安息角が大きくなる。

 

粉体は吸湿により付着凝集性が大きくなり、流動性が低下するので、安息角は大きくなる。
安息角と流動性については下記のリンク先を参照
安息角の小さい粉体ほど流動性が良い 89回問164の2

 

 

◆ 5について
5 × 2種類の水溶性の結晶性粉体を混合して得られた粉体のCRH は、個々の粉体のCRHと比べて高い。
→ 〇 2種類の水溶性の結晶性粉体を混合して得られた粉体のCRH は、個々の粉体のCRHと比べて低い。

 

なお、水溶性の結晶性粉体同士を混合すると臨界相対湿度は低下するが、
水溶性の結晶性粉体と水不溶性の結晶性粉体を混合しても臨界相対湿度は低下しない。

 

詳細は下記のリンク先を参照
エルダーの仮説 混合物の臨界相対湿度CRH 90回問168

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
101回問174(e-RECさん)

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