分散沈降法による粒度測定 86回薬剤師国家試験問167

86回薬剤師国家試験 問167
大、小2種の粒子径を有する同一物質の混合粉体について、アンドレアゼンピペットを用いて分散沈降法による粒度測定を行った。図に示すように、一定の深さにおける分散粒子の濃度(懸濁液濃度)は、測定開始後時間tまで初濃度C0のままであったが、時間tで大きく変化し、時間2tで0となった。なお、粒子はすべて、ストークスの式に従い沈降したものとする。
この実験に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

分散沈降法による粒度測定とストークス式 86回薬剤師国家試験問167

 

a 大粒子は小粒子の2倍量存在する。
b 小粒子は大粒子の2倍量存在する。
c 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は4dである。
d 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は2dである。
e 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は√2dである。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題集 粉体 一覧へ

 

 

86回薬剤師国家試験 問167 解答解説

 

分散沈降法による粒度測定とストークス式 86回薬剤師国家試験問167

 

大粒子の方が小粒子よりも沈降速度は速いので、
同時に沈降した場合、先に大粒子が沈降し終わる。
図より、時間tで濃度がC0から1/3C0に低下していることから、
時間tで大粒子が沈降し終わったと考えられる。
沈降開始から時間tで濃度は2/3 C0低下したことになるが、
その低下分は大粒子によるものだと考えられる。

 

次に、時間tから2tで濃度が1/3C0から0に低下していることから、
時間2tで小粒子が沈降し終わったと考えられる。
時間tから2tで濃度は1/3 C0低下したことになるが、
その低下分は小粒子によるものだと考えられる。

 

以上を踏まえて、選択肢の記述を解説する。

 

◆ a,bについて
a 〇 大粒子は小粒子の2倍量存在する。
b × 小粒子は大粒子の2倍量存在する。

 

大粒子と小粒子の濃度比は
2/3 C0:1/3 C0 = 2:1であるので、
大粒子は小粒子の2倍量存在したと考えられる。

 

 

◆ c,d,eについて
c × 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は4dである。
d × 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は2dである。
e 〇 小粒子の粒子径をdとすると、大粒子の粒子径は√2dである。

 

大粒子が沈降し終わった時間がt、
小粒子が沈降し終わった時間が2tであることから、
大粒子と小粒子の沈降速度比は2:1である。

 

沈降法では、粒子径を求めるのに下記のストークス式が用いられる。

 

分散沈降法による粒度測定とストークス式 86回薬剤師国家試験問167

 

ストークス式より、
粒子の沈降速度は粒子径の2乗に比例する。
大粒子の沈降速度は小粒子の沈降速度の2倍であることから、
大粒子の粒子径は小粒子の粒子径の√2倍であると考えられる。

トップへ戻る