粉体の粒子径と流動性・充填性の関係 89回薬剤師国家試験問164
89回薬剤師国家試験 問164
粉体の性質に関する記述のうち、正しいものはどれか。
1 同一成分の粉体においては、粒子径が小さいほど流動性が良くなる。
2 安息角の小さい粉体ほど流動性が良い。
3 混合粉体の流動性は、滑沢剤の添加量に比例して、直線的に増大する。
4 粒子径が大きい粉体ほど空隙率が大きくなる。
5 みかけ密度(かさ密度)の小さい粉体ほどオリフィスからの流出速度が増大する。
89回薬剤師国家試験 問164 解答解説
◆ 1について
1 × 同一成分の粉体においては、粒子径が小さいほど流動性が良くなる。
→ 〇 同一成分の粉体においては、粒子径が小さいほど流動性が悪くなる。
一般に、粉体の粒子径が小さいほど付着力・凝集力は大きくなるので、流動性は悪くなる。
◆ 2について
2 〇 安息角の小さい粉体ほど流動性が良い。
下の図に示す通り、
堆積した粉体層の表面が水平面となす角度θを安息角という。
安息角の小さい粉体ほど流動性は良い。流動性の良い粉体ほど安息角は小さい。
粉体の粒子径が小さいほど、
付着力・凝集力は大きくなるので、
流動性は悪くなり、安息角は大きくなる。
◆ 3について
3 × 混合粉体の流動性は、滑沢剤の添加量に比例して、直線的に増大する。
粉体の流動性を改善する方法の1つとして、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えることが挙げられる。
ただし、滑沢剤の添加量が多すぎると逆に流動性を悪化させる。
滑沢剤の添加量は、通常1%前後が最適である。
◆ 4について
4 × 粒子径が大きい粉体ほど空隙率が大きくなる。
→ 〇 粒子径が大きい粉体ほど空隙率が小さくなる。
粉体の粒子径が小さいほど付着力・凝集力は大きくなり、
粒子同士が固まってしまうので、空隙が大きくなり、
充填性は悪くなる。
逆に、粉体の粒子径が大きいほど付着力・凝集力は小さくなり、
粒子同士が固まらなくなるので、空隙が小さくなり、
充填性は良くなる。
◆ 5について
5 × みかけ密度(かさ密度)の小さい粉体ほどオリフィスからの流出速度が増大する。
→ 〇 みかけ密度(かさ密度)の小さい粉体ほどオリフィスからの流出速度が低下する。
流動性の良い粉体ほど、オリフィスからの流出速度は速い。
みかけ密度(かさ密度)の小さい粉体ほど充填性が悪く、
流動性は悪いため、オリフィスの流出速度が低下する。
みかけ密度(かさ密度)の大きい粉体ほど充填性が良く、
流動性は良いため、オリフィスの流出速度が増大する。