粉体の流動性に関する記述 84回薬剤師国家試験問168
84回薬剤師国家試験 問168
粉体の流動性に関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 造粒して、粒子径を増大させ、細粒や顆粒にすると流動性が増す。
b 見かけの比容積が大きい粉体は流動性が優れている。
c 粉体は吸湿により安息角が大きくなる。
d オリフィスからの流出速度の大きな粉体では安息角は小さい。
e 粉体の流動性はステアリン酸マグネシウムの添加量に比例して増大する。
84回薬剤師国家試験 問168 解答解説
◆ aについて
a 〇 造粒して、粒子径を増大させ、細粒や顆粒にすると流動性が増す。
造粒により粒子径が大きくなると、
粉体の付着・凝集性が低下するので、
流動性・充填性が向上する。
◆ bについて
b × 見かけの比容積が大きい粉体は流動性が優れている。
→ 〇 見かけの比容積が大きい粉体は流動性が悪い。
見かけの比容積(かさ比容積)とは単位質量あたりの見かけ体積である。
見かけ体積とは空隙を含む粉体の体積である。
見かけの比容積が大きい粉体は見かけ体積が大きいことになるが、
それは空隙が大きいことを意味し、
粉体の流動性・充てん性が悪いことを示す。
◆ cについて
c 〇 粉体は吸湿により安息角が大きくなる。
粉体は吸湿により付着凝集性が大きくなり、
流動性が低下するので、安息角は大きくなる。
安息角の小さい粉体ほど流動性は良い。
安息角の大きい粉体ほど流動性は悪い。
安息角と流動性については下記のリンク先を参照
安息角の小さい粉体ほど流動性が良い 89回問164の2
◆ dについて
d 〇 オリフィスからの流出速度の大きな粉体では安息角は小さい。
オリフィスからの流出速度の大きな粉体は流動性が良いので、
安息角は小さい。
◆ eについて
e × 粉体の流動性はステアリン酸マグネシウムの添加量に比例して増大する。
粉体の流動性を改善する方法の1つとして、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えることが挙げられる。
ただし、滑沢剤の添加量が多すぎると逆に流動性を悪化させる。
滑沢剤の添加量は、通常1%前後が最適である。