88回薬剤師国家試験問167 医薬品粉体の性質に関する記述
88回薬剤師国家試験 問167
医薬品粉体の性質に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a 同一の粉体について、沈降法による重量基準の重量平均径は、顕微鏡法による個数基準の長さ平均径よりも大きい。
b 粉体表面への液体のぬれを考えるとき、拡張ぬれの接触角は付着ぬれの接触角よりも大きい。
c エルダー(Elder)の仮説が成立する場合、2種類以上の水溶性粉体の混合物の臨界相対湿度(CRH)は、個々の粉体のCRHよりも大きくなる。
d 安息角は、流動性が悪い粉体ほど大きい。
88回薬剤師国家試験 問167 解答解説
◆ aについて
a 〇 同一の粉体について、沈降法による重量基準の重量平均径は、顕微鏡法による個数基準の長さ平均径よりも大きい。
質量基準の粒度分布より得られる平均粒子径は、
個数基準の粒度分布より得られる平均粒子径よりも大きい。
関連問題
個数基準と質量基準の分布から得られるモード径 91回問166c
◆ bについて
b × 粉体表面への液体のぬれを考えるとき、拡張ぬれの接触角は付着ぬれの接触角よりも大きい。
→ 〇 粉体表面への液体のぬれを考えるとき、拡張ぬれの接触角は付着ぬれの接触角よりも小さい。
拡張ぬれの接触角は0°である。
浸漬ぬれの接触角θは0°≦θ<90°である。
付着ぬれの接触角θは0°≦θ<180°である。
詳細は下記のリンク先を参照
拡張ぬれ,浸透ぬれ,付着ぬれと接触角 86回問169
◆ cについて
c × エルダー(Elder)の仮説が成立する場合、2種類以上の水溶性粉体の混合物の臨界相対湿度(CRH)は、個々の粉体のCRHよりも大きくなる。
→ 〇 エルダー(Elder)の仮説が成立する場合、2種類以上の水溶性粉体の混合物の臨界相対湿度(CRH)は、個々の粉体のCRHよりも小さくなる。
なお、水溶性の結晶性粉体同士を混合すると臨界相対湿度は低下するが、
水溶性の結晶性粉体と水不溶性の結晶性粉体を混合しても臨界相対湿度は低下しない。
詳細は下記のリンク先を参照
エルダーの仮説 混合物の臨界相対湿度CRH 90回問168
◆ dについて
d 〇 安息角は、流動性が悪い粉体ほど大きい。
一般に、安息角の小さい粉体ほど流動性は良い。
安息角と流動性については下記のリンク先を参照
安息角の小さい粉体ほど流動性が良い 89回問164の2