排泄に関する記述 89回薬剤師国家試験問155

89回薬剤師国家試験 問155
排泄に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
2つ選びなさい。
a インドシアニングリーンは、胆汁中へ特異的に排泄されることを利用した肝機能検査薬である。
b パラアミノ馬尿酸ナトリウムは、腎臓の尿細管で能動的に再吸収されることを利用した腎機能検査薬である。
c 薬物は、一般に肝臓でグルクロン酸やグリシンなどの抱合を受けると、分子量が大きくなり、胆汁中へ排泄されやすくなる。
d ジゴキシンの血中濃度が、キニジンとの併用によって低下するのは、尿細管のP糖タンパク質の競合に由来する。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題 排泄 一覧へ

 

 

89回薬剤師国家試験 問155 解答解説

 

◆ aについて
a ○ インドシアニングリーンは、
胆汁中へ特異的に排泄されることを利用した肝機能検査薬である。

 

インドシアニングリーンは、血中から選択的に肝臓に取り込まれ、
肝臓から胆汁中に排泄されることで消失し、腸肝循環や腎臓からの排泄はない。
このことから、インドシアニングリーンは、
肝機能や循環機能などの検査用薬として用いられている。

 

 

排泄に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか 89回薬剤師国家試験問155

 

 

◆ bについて
b × パラアミノ馬尿酸ナトリウムは、腎臓の尿細管で能動的に再吸収されることを利用した腎機能検査薬である。

 

パラアミノ馬尿酸は、腎臓で糸球体ろ過と尿細管分泌により尿中に排泄され、
ほとんど尿細管で再吸収されない。
このことから、パラアミノ馬尿酸ナトリウムは、
腎血漿流量測定の検査薬として用いられる。

 

排泄に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか 89回薬剤師国家試験問155

 

 

◆ cについて
c ○ 薬物は、一般に肝臓でグルクロン酸やグリシンなどの抱合を受けると、分子量が大きくなり、胆汁中へ排泄されやすくなる。

 

分子量が500以上の薬物が胆汁中に排泄されやすい。
肝臓でグルクロン酸やグリシンなどの抱合を受けると、
分子量が大きくなり、胆汁中へ排泄されやすくなる。

 

 

◆ dについて
d × ジゴキシンの血中濃度が、キニジンとの併用によって低下するのは、
尿細管のP糖タンパク質の競合に由来する。

 

ジゴキシンは、主に未変化体として糸球体ろ過と尿細管分泌により尿中排泄されて消失する。
ジゴキシンの尿細管分泌にはP糖タンパク質が関与する。
キニジンは、CYP2D6阻害作用とP糖タンパク質阻害作用を有する。
ジゴキシンとキニジンを併用すると、
キニジンのP糖タンパク質阻害作用により、
ジゴキシンの尿細管分泌が阻害され、ジゴキシンの血中濃度が上昇する。

トップへ戻る