アトピー性皮膚炎の服薬指導 99回薬剤師国家試験問278

99回薬剤師国家試験 問278−279
22歳女性。中等度のアトピー性皮膚炎にて受診している。今回、顔面、頸部、体幹、腕等に炎症を認めたため、次の薬剤が処方された。

 

99回薬剤師国家試験問278 アトピー性皮膚炎の服薬指導

 

問278(実務)
次の記述のうち、服薬指導として適切なのはどれか。2つ選びなさい。
1 タクロリムス水和物軟膏は皮膚萎縮の副作用があるので、顔面に使用しないように指導した。
2 デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏は、炎症が軽くなれば使用を直ちに中止するように指導した。
3 ヒルドイドローションは、入浴直後に使用すると効果的であると指導した。
4 アゼラスチン塩酸塩は眠気を誘発するため、車の運転をしないように指導した。

 

 

問279(薬剤)
ヒルドイドローション0.3%に含まれる添加物とその役割との組み合わせのうち、正しいのはどれか。1つ選びなさい。

 

99回薬剤師国家試験問278 アトピー性皮膚炎の服薬指導

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99回薬剤師国家試験 問278(実務) 解答解説

 

99回薬剤師国家試験問278 アトピー性皮膚炎の服薬指導

 

◆ 1について
1 × タクロリムス水和物軟膏は皮膚萎縮の副作用があるので、顔面に使用しないように指導した。

 

タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)は顔に使用できる。
顔や首は皮膚が薄くステロイド外用薬の副作用が出やすい。
タクロリムス軟膏は顔や首の炎症に良く効くため、顔や首の炎症に対してはタクロリムス軟膏が選択されることがある。
タクロリムス軟膏は、副作用として、一過性に皮膚刺激感(灼熱感、ほてり感、疼痛、そう痒感等)が高頻度に認められるが、通常、皮疹の改善とともに発現しなくなる。よって、使用直後は皮膚刺激感があることについて患者に説明する必要がある。

 

なお、皮膚萎縮(皮膚が薄くなること)は、ステロイドを長期連用した時に現れることのある副作用である。
皮膚が薄い,毛穴が多い等のことから、薬の吸収が良い顔や首、外陰部などにステロイド外用薬を投与する場合、一般にミディアムクラス以下のものが選択される。
設問のデキサメタゾン吉草酸エステル軟膏(ボアラ軟膏)は、ストロングクラスのステロイド外用薬である。

 

 

◆ 2について
2 × デキサメタゾン吉草酸エステル軟膏は、炎症が軽くなれば使用を直ちに中止するように指導した。

 

ステロイド外用薬を急に中止すると、症状の悪化やステロイドの離脱症状が現れることがあるので、
自己判断で中断してはならない。

 

 

◆ 3について
3 〇 ヒルドイドローションは、入浴直後に使用すると効果的であると指導した。

 

皮膚に汚れがあると薬が浸透しにくくなるため、塗り薬は皮膚をきれいにしてから塗る。
入浴後は皮膚がきれいなので、塗り薬を使うのに良いタイミングである。
また、入浴すると、皮脂が除去され、さらに、角質から水分が蒸散しやすくなっているため、時間とともに皮膚が乾燥しやすい。よって、入浴後の保湿の必要性からも、塗り薬は入浴後に使うことが勧められる。

 

 

◆ 4について
4 〇 アゼラスチン塩酸塩は眠気を誘発するため、車の運転をしないように指導した。

 

アゼラスチン塩酸塩(アゼプチン)は、第二世代の抗ヒスタミン薬であり、ヒスタミンH1受容体拮抗作用の他、ヒスタミン遊離抑制作用、ロイコトリエン産生・遊離抑制作用、ロイコトリエン受容体拮抗作用により、アレルギーを抑制する。
アゼラスチン塩酸塩(アゼプチン)は、第二世代の抗ヒスタミン薬の中では比較的に血液脳関門を追加しやすく、中枢のヒスタミンH1受容体拮抗作用により眠気を催しやすい。
よって、アゼラスチン塩酸塩(アゼプチン)を投与する患者には、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作には従事させないよう指導する。

 

 

99回薬剤師国家試験 問279(薬剤) 解答解説

 

下記のリンク先を参照
ヒルドイドローションの添加剤 99回問279

 

 

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99回問278,279(e-RECさん)

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