レスキュードーズの代替案 104回薬剤師国家試験問284,285

104回薬剤師国家試験 問284−285
45歳男性。結腸がんによる結腸切除術後に全身に転移が見られ、処方1により疼痛コントロールを行っていた。今回、疼痛増悪による疼痛コントロール目的で入院となり、処方2に変更となった。

 

104回薬剤師国家試験問284,285 レスキュードーズの代替案

 

入院時に薬剤師が行った痛みの評価では、「午後になると痛みが強くなる、NRS(Numerical Rating Scale):8/10」、「どのタイミングか不明だが突然痛みが出る。痛みが出始めるとすぐに強い痛みとなる、NRS:8/10」とのことであった。
処方2の薬剤服用開始後に行った評価は、「午後になると強くなる痛みは改善、NRS:3/10」、「突然痛くなる状況は変化がない、NRS:8/10」であり、この結果を受けて緩和ケアチームで患者の処方を検討することになった。

 

問284(実務)
緩和ケアチームの薬剤師は、オキシコドン塩酸塩水和物散からの処方変更を提案した。代替の薬剤として、最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 フェンタニル経皮吸収型製剤
2 フェンタニルクエン酸塩舌下錠
3 モルヒネ硫酸塩水和物徐放性細粒
4 モルヒネ塩酸塩水和物坐剤
5 モルヒネ塩酸塩注射液

 

問285(薬剤)
前問での提案の理由として最も適切なのはどれか。1つ選びなさい。
1 初回通過効果の回避
2 有効血中濃度の持続
3 速やかな薬効の発現
4 バイオアベイラビリティの改善
5 副作用の回避

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104回薬剤師国家試験 問284,285 解答解説

 

104回薬剤師国家試験問284,285 レスキュードーズの代替案

 

レスキュードーズのオキシコドン塩酸塩水和物散の代替薬として、最も適切なのは、
問284の選択肢2のフェンタニルクエン酸塩舌下錠である。

 

その理由として最も適切なのは、
問285の選択肢3の速やかな薬効の発現である。

 

本患者では、突出痛に対し、最初はレスキュードーズとしてオキシコドン塩酸塩水和物散を1回15mgで服用していたが、「どのタイミングか不明だが突然痛みが出る。痛みが出始めるとすぐに強い痛みとなる、NRS:8/10」とのことであった。
これを受け、レスキュードーズのオキシコドン塩酸塩水和物散を1回20mgに増量したが、
「突然痛くなる状況は変化がない、NRS:8/10」という状況なので、処方変更を提案する。
フェンタニルクエン酸塩舌下錠(アブストラル舌下錠)は、舌の下に置いて服用することにより、有効成分が舌の裏の粘膜の血管や口腔粘膜の血管から吸収され、速やかに薬効を発現する製剤である。
舌下錠の薬効発現時間は速いときで約10分であり、、散剤や液剤より速いと考えられているので、
散剤で突出痛に対応できない場合の代替薬として、舌下錠は候補の1つとなる。
がん性疼痛治療の原則として、“できる限り経口的に(by mouth)”ということがあるので、舌下錠はこの原則にも適合する。

 

また、本問の選択肢にはないが、フェンタニルクエン酸塩バッカル錠(イーフェンバッカル錠)も素早い効果発現が求められる時に候補となる。バッカル錠とは、錠剤を上あごの歯茎と頬の間に置いて服用し、有効成分を口腔粘膜の血管から吸収させる製剤である。イーフェンバッカル錠の薬効発現時間は速いときで約10分であり、散剤や液剤より速いと考えられている。

 

 

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