反応次数の異なる反応のグラフ 107回薬剤師国家試験問95
107回薬剤師国家試験 問95
ア〜ウのグラフは、反応次数の異なる化学反応の経時変化を表したものである。これらのグラフに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。ただし、[A]は反応物Aの濃度(懸濁液の場合は、その時点の、Aの全量を体積で割った値)、tは時間を表す。
1 傾きから反応速度定数を求められるのはアとウであるが、イでは求められない。
2 MRI 信号の減衰はアのグラフと同じ変化を示す。
3 半減期がその時点での濃度によって変化しない反応は、イのグラフを示す。
4 懸濁液中の加水分解反応で、反応速度よりも溶解速度が速い場合は、ウのグラフを示す。
5 ア〜ウの反応速度定数の次元は同じである。
107回薬剤師国家試験 問95 解答解説
0次,1次,2次反応の特徴については、
下記のリンク先を参照
0次反応とは 速度式・グラフ・半減期
◆ 1について
1 × 傾きから反応速度定数を求められるのはアとウであるが、イでは求められない。
ア〜ウのすべてにおいて、傾きから反応速度定数を求められる。
・アのグラフ
アは一次反応のグラフであり、
傾きは−k1である。
・イのグラフ
イは二次反応のグラフであり、
傾きはk2である。
・ウのグラフ
ウは0次反応のグラフであり、
傾きは−k0(0次反応速度定数)である。
◆ 2について
2 〇 MRI 信号の減衰はアのグラフと同じ変化を示す。
MRI 信号の減衰は時間に対して指数関数的に減少するので、
一次反応に従うといえる。
よって、時間に対してMRI 信号の対数値をプロットすると、
アのグラフ(一次反応)と同じ変化を示すと考えられる。
なお、一次反応の時間と濃度の関係式は下記の通り。
◆ 3について
3 × 半減期がその時点での濃度によって変化しない反応は、イのグラフを示す。
→ 〇 半減期がその時点での濃度によって変化しない反応は、アのグラフを示す。
半減期がその時点での濃度によって変化しない反応は一次反応であり、
アのグラフを示す。
なお、0次,1次,2次反応の半減期の式は下記の通り。
◆ 4について
4 〇 懸濁液中の加水分解反応で、反応速度よりも溶解速度が速い場合は、ウのグラフを示す。
懸濁液中の加水分解反応で、
反応速度よりも溶解速度が速い場合、
分解は擬0次反応に従うので、
ウのグラフ(0次反応)を示す。
擬0次反応については下記のリンク先を参照
擬0次反応とは 速度式・グラフ
◆ 5について
5 × ア〜ウの反応速度定数の次元は同じである。
0次,1次,2次の反応速度定数の次元はそれぞれ異なる。
詳細は下記のリンク先を参照
0次,1次,2次反応の速度定数kの次元の求め方 83回問19
★ 他サイトさんの解説リンク
107回問95(e-RECさん)