擬0次反応の計算問題 99回薬剤師国家試験問93

99回薬剤師国家試験 問93
ある薬物Aの水に対する溶解度は5w/v%であり、1次反応速度式に従って分解し、その分解速度定数は0.02h−1である。この薬物1.5g を水10mL に懸濁させたとき、残存率が90%になる時間(h)に最も近い値はどれか。1つ選びなさい。ただし、溶解速度は分解速度に比べて十分に速いものとする。

 

1 2.5
2 7.5
3 13.5
4 15
5 75

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99回薬剤師国家試験 問93 解答解説

 

正解は4の15である。

 

本問は、擬0次反応の計算問題である。
擬0次反応については下記のリンク先を参照
擬0次反応とは

 

「薬物A 1.5g を水10mL に懸濁させた」とあるが、
1.5g/10mL = 15g/100mL = 15w/v%
であるので、
設問の溶液は、薬物の含量が溶解度(5w/v%)以上に存在する懸濁液である。

 

分解が1次反応速度式に従う薬物の懸濁液であり、
かつ、溶解速度は分解速度に比べて十分に速い
ということから、
溶液の薬物含量(全濃度)が溶解度以下になるまで、
薬物Aは擬0次反応に従い分解する。
その間のAの分解反応の反応速度(ν擬0)は次の@式で表される。

 

ν擬0= k擬0 = k1・Cs …@
k擬0:擬0次反応速度定数
k1:1次反応速度定数 Cs:溶解度(飽和濃度)

 

k1 = 0.02h−1,Cs:5w/v% より、
k擬0 = 0.1h−1・w/v%

 

擬0次反応における薬物含量Cと時間tの関係式は下記の通り。
C = C 0 − k擬0・t …A
C:時間tでの含量 C 0:初期含量

 

本問では、薬物の残存率が90%になる時間を求める。
「残存率が90%になる」とは、
初期含量(C 0)の90%になることであり、
含量が15w/v%×0.9 = 13.5w/v%になることである。

 

A式にこれらの数値を代入し、
tについて解く。
C = C 0 − k擬0・t より、
13.5w/v% = 15w/v% − (0.1h−1・w/v%)・t
t = 15h

 

以上より、
残存率が90%になる時間は15時間である。

 

擬0次反応 残存率が90%になる時間 99回薬剤師国家試験問93

 

なお、薬物Aの含量が溶解度(5w/v%)以下になると、
1次反応に従い分解するようになる。
その速度(ν1)は次式で表される。

 

ν1 = k 1・C
k1:1次反応速度定数 C:薬物の濃度

 

1次反応における濃度と時間の関係式は下記の通り。
lnC = lnC0 − k1・t
C:時間tでの濃度 C 0:初期濃度

 

 

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