特殊酸塩基反応 薬物を最も安定に保存できるpH 91回薬剤師国家試験問22

91回薬剤師国家試験 問22
水溶液中の分解1次速度定数が次式で表される薬物がある。
k = kH・[H+] +kOH・[OH]

 

ここで、kHは水素イオンによる触媒定数、kOHは水酸化物イオンによる触媒定数である。
H = 1.0×10 2 L/mol・hr、
kOH = 1.0×104 L/mol・hr
及び水のイオン積kw = 1.0×10−14とすれば、
この薬物を最も安定に保存できるpHはどれか。

 

1 9.0
2 8.0
3 7.0
4 6.0
5 5.0

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91回薬剤師国家試験 問22 解答解説

 

正解は4の6.0である。

 

特殊酸塩基反応で薬物を最も安定に保存できるpH 91回薬剤師国家試験問22

 

本問は、特殊酸塩基反応に関する問題である。
特殊酸塩基反応については下記のリンク先を参照
特殊酸塩基反応の速度定数と直線の傾き 94回問167a

 

この薬物を最も安定に保存できるpHとは、
加水分解速度定数が最小となるpHのことである。

 

設問の分解速度定数の式より、
この薬物の加水分解は水素イオン(H+ )と水酸化物イオン(OH )の両方の触媒作用を受けると考えられる。
よって、この薬物の加水分解速度が最小となるのは
H・[H+]=kOH・[OH]
となる時であるので、その時の[ H+ ]を求めればよい。

 

 

H・[ H+ ]=kOH・[ OH ] より、
1.0×102L・mol −1・h −1・[ H+ ]=1.0×104L・mol −1・h −1 ・1.0×10−14/ [ H+ ]
[ H+ ] 2 = 1.0×10−12・mol2・L −2
[ H+ ] = 1.0×10−6・mol・L −1
よって、
この薬物の加水分解速度が最小となるpHは6である。
したがって、この薬物を最も安定に保存できるpHは6である。

 

特殊酸塩基反応で薬物を最も安定に保存できるpH 91回薬剤師国家試験問22

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